さすがに強姦されかけた少女、それも恐らく知り合いをもう助けたからと言ってはい、さよなら…出来る程人でなしでも無い…そう考えながら路地を出てみれば、人目を引くのも構わず、オーフィスに抱き着いている、パーカーを来た少女の後ろ姿が見えた。困り顔のオーフィスを見ながら思い出した。
……こいつ、誰かと思えば良く三馬鹿を追っかけている内の一人か。リアスが適当な事言ってやって来るようになった生徒たちよりも前からの知り合いで、出会いも強烈だから、人の顔をあまり覚えない私にも印象に残りやすい…後、学園にクレアを連れて来た時に真っ先に抱き着いたのもこいつだ。…クレアと違ってオーフィスはこういうのは慣れてないだろうし、さっさと解放してやるか。
呆れながらも声をかけようとして近付いた時、気付いた。……震えている。自分よりも小さな子に抱き着く程怖かったのか。
「…落ち着いた…?」
「ごめん…オーフィスちゃん…もう少しだけこのままでも良い…?」
「……少しだけ、なら。」
「ありがとう…」
……面倒な事に巻き込まれたと思ったが、オーフィスの成長を改めて見れたのだから、収穫はあったな。
「あの、ごめんね…オーフィスちゃん…」
「大丈夫…」
「テレサさんもごめんなさい…」
「謝罪は良い、無事で良かった…で、何があったんだ?」
近くのファミレスに入り、話を聞く…まあこいつに原因があった訳じゃないと思うが、念の為だ…
「…そう言われても…私、帰る前に友人と買い物に行く事になって、買い物も終わったんで皆と別れて帰ろうとしたら…あいつらに声をかけられて…私、早く帰りたかったし、誘いを断ったら腕を引っ張られてあそこに…」
そう言って震え始める…これ以上聞いても無駄か、嘘をついているようにも見えない…ん?
「……」
オーフィスがテーブルの上に身を乗り出し、彼女の頭を撫でていた。
「…悪かった。今日はもう帰ろう…家まで送って行く…一応聞くが警察には相談するか?」
「いえ…良いです…。」
「そうか、少し待ってろ…オーフィス、悪いがそいつの事を頼むぞ?」
「分かった。」
彼女の肩に手を置き、歩き出す。
三人分のコーヒーの料金を払い、店を出る…外はもう暗くなっていた。さっきの路地に向かう。
「まだ気絶してるとはな。」
あの女子生徒が平静を取り戻すのに時間がかかったので一時間程経ってる…さすがにこのままにはしておけない。
「…生徒が襲われてるんだ、奴も傍観する、とは言わんだろう。」
私は携帯を取り出すと、電話をかけた。
『成程ね…確かに放ってはおけないわね…』
サーゼクスが忙しくて手が離せないらしく電話にはグレイフィアが出た。
「ただなぁ、相手は完全に普通の人間なんだ…」
『襲われたのも人間の少女でしょう?大丈夫、私たちは主立って動けないけどやりようはあるわ。』
「良い手があるなら頼む…私にはこれ以上何もしてやれないからな…」
私がそう言うとグレイフィアが軽く笑い声を上げた…何を笑ってる…!
「おい…!笑い事じゃないんだぞ?」
『…ごめんなさい。でもね、嬉しいのよ、貴女がそうやって誰かの為に積極的に動こうとするのがね…』
「……」
『話は分かったわ、何とかしてみる…まず今いる路地からはもう離れた方が良いわ。見つかったら困るでしょう?』
「ああ、そうだな…悪いが、後を任せる。」
『ええ…ところでテレサ?』
「何だ?」
『怪我は無かった?』
「……女相手にナイフ出す様な輩に私を傷つけられる訳無いだろう?」
『……それもそうね、それじゃあ切るわね?』
「ああ。」
電話を切り、携帯を仕舞おうとして考える。
「黒歌にも電話しておこう。」
あいつをあのまま自分の家に帰らす訳には行かないからな…一旦私たちの家に連れて行く事にして、面倒を見てくれる様に頼んでおこう。私は既に帰宅しているだろう、黒歌の携帯に電話をかけた。