「…終わった…のか」
俺はその一言と共に俺の突き出した剣が刺さり消えていくヒースクリフを後目にメニューを出しログアウトを選択する。
「…ハア……」
目覚めた俺は余韻に浸りつつもアミュスフィアを外す
「…こんなの……ただの自己満足じゃないか……何やってんだろうな、俺は……」
SAO事件……そう呼ばれた事件からもう10年が経つ
俺はアインクラッド75層でのボス戦の後、ヒースクリフ=事件の犯人茅場晶彦と看破し一騎討ちの末……奴を踏破。死者は多数出ていたものの二年余りの時を経て多くのプレイヤーはようやく現実世界に戻ることが出来た……なんて事実は無かった
「いっそ……死ぬか狂えれば楽なのに……」
どう妄想しようと現実は変わらない。実際にあったのはこうだ
75層……そこで俺達はボスを倒すことこそ出来たものの多数の死者を出し攻略組は壊滅
最愛の人……アスナは守りきれず死亡。エギルもクラインも攻略組で俺が親しかった奴はみんな死んじまった
その後少なくなったプレイヤー達をヒースクリフと共に俺は半ば脅迫し無理矢理攻略を続行。
……この時点で俺はなんとなくヒースクリフの正体に気付いていたのかもしれない。当時の事はもう朧気になりつつあるがそれは言い切ってもいい
だが俺は口に出す事無くヒースクリフ達と共に攻略を進めていき……やがて悪夢のあの日がやって来た……
圏内エリアにmobが侵入したあの日に俺は攻略組以外の友人まで失ってしまった。
助けには行かなかった。俺はあいつらを見捨てた。攻略を進めるのが先決と自分に言い聞かせて……
その後95層……俺とヒースクリフしか残らなかったあの場所で俺は言った。決着を着けよう…と。
ヒースクリフは待っていたと言わんばかりの表情で了承。相討ち覚悟で戦ったが思いの外あっさりあいつは俺に敗れた
……多分あいつももう終わらせたかったのだろう。そこまで登るのに結局どう急いでも4年……しかももう俺とあいつしかあの世界にプレイヤーはいなかったのだから……その後俺は奴から世界の種子<ザ・シード>を託された。
俺はそれを世に公開せず自分のために使った。あの世界を模した世界を当時覚えてる限りで反映させ俺は作ったあの世界を。
そして俺は未だに自分を慰め続けている。層の行き来が出来るのは当然俺だけ。それぞれの層にはプレイヤーを模したNPCを配置した。そしてあの時の出来事をループし再現しつづけている。
変えたのは75層の出来事だけだ。俺はアスナもエギルもクラインも失いたくなかったから。
今日はもう終わりだ。……でも俺はきっと明日も自分の作った箱庭の世界にログインし続けるのだろう。きっと死ぬまで……
後にザ・シードをネットに流し茅場二号となり同じ事件を起こし勇者と魔王の二役を演じ今度こそ英雄になる妄想をするキリトの話
一時期良く言われていたニューロリンカーの開発者=キリトという説から来ている話だがニューロリンカーで人は殺せるのだろうかという問題が残る