「…どうだ?変な所は無いか?」
着替えを終えた私は部屋から出ると黒歌にそう聞いていた。
「……変な所って言うか、にゃんであんたこんな時でもラフな格好にゃの?」
「私はスーツなんて持ってないぞ「前に買っといた方が良いって言わにゃかった?」……聞いた気がするな…」
「間違い無く言ったにゃ…というか、つい最近もセラフォルーにまで言われてにゃかった?」
「……そんな事もあった気がするな…」
適当な事を言ったが、実はそっちは良く覚えている……あいつの仕事は主に魔界の外交方面を担当している…要は人に会うのだ…その分仕事の時の服装にはアレでも人一倍気を使っていたな…まあ、ほとんど私服と化してるコスプレ衣装もそれはそれで中々受けが良いらしいが。
……とまぁ、そんなセラフォルーからあの時は珍しく真面目なテンションで私の持ってる服について色々言われたが…さすがに説得力はあったな…その後にコスプレの良さについて長々と語り始めたから途中から聞き流していたが。
「まあ、良いだろ。どうもあいつの親は私の事を知っている様だし、普段通りでも…て、そんな事は良いんだ…」
私は先程から感じていた違和感について聞いてみる事にした。
「お前は何でスーツを着ている?」
「にゃんでって私も行くからだけど。」
……聞き間違いじゃ無さそうだな…
「お前にはオーフィスの事を頼んだ筈だが「私も行く気にゃかったけど、オーフィスが行きたいって言うから…ちなみに今、あんたの後ろにいるけど」っ!?」
後ろを向くと確かにオーフィスがいた。瞬間、思わず後ろに飛ぶ…振り向くまで一切気配を感じなかった…複製とはいえ、これほどの魔力を持ったオーフィスに気が付かなかったとは…
「…オーフィス、本当にお前も行きたいのか?」
離れた距離を詰め、聞いてみる…
「うん…」
「さっきの電話を聞いていたのか?」
「ごめんなさい…」
「別にそれは良い…で、何で行きたいんだ?」
「我、あの子心配…」
「……」
こいつを連れて行ってどうなるか頭の中で思い描く…案外、そう悪い事にはならなそうではあるが…
「……連れて行くか。」
「どちらにしろこの子…あんたの許可無くても行くと思うけど。」
「勝手に来られる方が面倒ではあるな…」
そういう意味では…或いは良かったのかもしれんな…
「じゃあ行こうか。」
私たちは部屋を出た。
学園に向かう道中で、私はオフィーリアと、今回の一件に出て来ざるを得ないだろうサーゼクスに連絡し、オーフィスを連れて行く事を伝える。
オフィーリアは特に気にしていなかったが、サーゼクスにはそれなりに渋られた…まあ確かにまだオーフィスの事に関しては不安だが…
「……」
改めて私と黒歌の手を握って歩くオーフィスを横目で見る…目敏く私の視線に気付き、首を傾げる…
「…テレサ?どうかした?」
「……いや、何でも無い…」
不安が無くなった訳では無い…だが、不思議と今のオーフィスなら大丈夫なのでは無いか?…私はそう感じていた。