「さてと。あちらが遅れてるのはある意味、都合が良いかな。」
「……どういう事だ?」
突然そんな事を言い始めたサーゼクスに私は聞いた。
「…テレサ、君の服装だが「不味いか?」…君は一応この学園に雇われているからね、普通に会うだけならまだしも今回の場合は少々ね…」
黒歌に続いてこいつにまで言われるか…
「……生憎だが、私はこういうのしか持ってない。」
そう言うとサーゼクスが笑った…何なんだ、一体…?
「そう言うと思ったよ。隣の部屋でグレイフィアが待ってるから行ってみてくれ。」
「…行かなきゃ駄目なのか?」
笑顔のまま頷くサーゼクスに溜め息を吐く…やれやれ…
「そういう訳だ、少し行って来る…」
私は黒歌とオーフィスにそう伝え、理事長室を出た…私に何をさせたいのか知らんが、客が来るんだ…それ程時間はかからんだろう…
「待ってたわ。早速だけどこれに着替えて。」
「おい、何だこれは?ちょっと待て!おい!」
私はグレイフィアが寄越して来た紙袋を突き返そうとしたが、グレイフィアは受け取らず部屋を出て行く……参ったな…本当に着替えなきゃいけないのか?
「仕方無い…ん…?これは…」
「テレサ、終わったかしら?」
「ん?ああ。」
数分後…ノックをして、声をかけて来たグレイフィアに返事をする…ドアが開いた。
「…似合ってるわよ、テレサ。」
「…堅苦しいのは苦手なんだが、な…」
私はグレイフィアに背を向けると、わざわざ用意したのか、それとも元々あったのか分からないが、振り向いた先にあった鏡で自分の姿を改めて確認する…
「てっきり婦人用だと思っていたがな…」
私が着てるのは一見すると何処にでもありそうなビジネススーツだ…だが…
「下はズボンでネクタイ付きか…」
「貴女、女性物じゃ着たがらないでしょ?」
「確かにな…あまりこういうのは好きじゃないが…悪くは無い…いや、寧ろ上出来か。着心地もこういう系統にしては中々だ。」
私がそう言うとグレイフィアが笑顔になる…何だ?
「それはそうでしょうね。それ、オーダーメイドだもの。」
「……そうなのか?」
「ちなみに用意したのは私じゃなくてサーゼクス様よ。そのスーツはプレゼントするそうだから、そのまま持って帰って。」
「……」
そりゃあ私のサイズに合わせて作ってるんだから、私が持って帰らない訳にいかんだろうな…何もそこまでしなくても…
「サーゼクス様は貴女の事を家族だと思ってるわ…家族に服をプレゼントするのは普通の事だと思わない?」
「人の考えを読むんじゃない…」
全く…ん?
「グレイフィア、少し気になったんだが…」
「何かしら?せっかく服装を整えたんだし、髪も纏めたいんだけど?」
「……私はサーゼクスにサイズを教えた覚えが無いんだが…」
「あら?そうなの?」
「不思議そうな顔をするな…普通親子でもなければ、夫婦でもない関係性の男にサイズは教えないだろう?」
「…そう言われてみれば…」
「…まあ、後で聞いてみるさ…」
別に知られたからって減るもんじゃないからな…