疑問はあったが、あまり時間は無いのでさっさと用意された椅子に座る…やれやれ…
「しかし…何もこの為だけにスーツを発注しなくても「それは違うわよ?」ん?」
「考えてみて。このタイミングで用意するなんて無理だと思わない?」
「……言われてみれば確かにそうだな…」
あいつが倒れるのは想定外の事態だった…サーゼクスが例え、私のサイズを知っていたところで発注してもさすがに間に合わない…しかし…そうなると…
「サーゼクス様は前々から貴女に渡す為に用意していたの。渡すタイミングが中々無かっただけ。」
「タイミングなんていくらでもあったと思うがな…」
「女性物よりマシとは言っても…普通に渡したところで、貴女は受け取らないでしょう?」
「……さすがにオーダーメイドのスーツなら受け取るさ。」
金がかかってるのは分かるからな…
「はい、出来たわ。」
「……普通に縛るだけで良かっただろ。」
グレイフィアは私の髪をわざわざハーフアップにしてまとめていた。
「綺麗な髪だし、それじゃあ勿体無いわ…本当はテレーズの方も弄りたいくらいよ。彼女、いつも適当に縛ってるだけだし。」
「黒歌が渡したリボンを今もそのまま使ってるだけ、あいつには譲歩した方だろう…というか、私じゃなくて本人に言え。」
「最近は会えて無いけど、ちゃんと何度か言ったわよ。その度に断られるけど。」
「だろうな…」
元が男だった私よりマシとは言え、あいつだってオシャレとは無縁だった筈…着せ替え人形扱いされてもあまり文句こそ言わないが、あいつにとってはそれなりに葛藤はある筈…まあ、私はそれすら逃げたいがな…
「それじゃあ私は行くわね「お前は来ないのか?」私は学園の関係者じゃないからね、このまま屋敷に帰るわ。」
「そうか…あー…クレアたちに宜しくな。」
「ええ、伝えるわ。じゃあね。」
「戻って来たね…ふむ…良く似合っているよ、テレサ。」
「そうか。」
理事長室に戻って来てすぐにサーゼクスからそう言われる。
「普段からそうしてたら良いのに。」
「勘弁してくれ…面倒臭い。」
「どうせ自分でやる訳じゃないでしょ?私がやってあげるわよ?」
「……その話は帰ってからな。」
黒歌の申し出を必死で断る…いやまあ…黒歌の言う通り自分でやる訳じゃないし、やって貰える分には良いのかもしれないが…ん?
「オーフィス?どうした?」
私を見詰めるオーフィスの視線に気付く…何だ?
「……テレサ。」
「ん?」
「……似合ってる。」
「そうか…」
オーフィスはそう言って私から離れ、理事長室にあったソファに腰掛ける…ふむ…
「サーゼクス、ちょっと良いか?」
「何かな?」
私はサーゼクスに近付くとある事を耳打ちする…
「しかしそれは「オーフィスがこの場にいても仕方無いからな…そもそもオーフィスはあいつが心配だから来たんだ」う~ん…」
「頼む!」
私はサーゼクスに頭を下げた。
「分かったよ…先に聞くが、本当に彼女を信じても大丈夫なんだね?」
「ああ…今のオーフィスなら大丈夫だ…それに、黒歌について行かせれば良いだろう?」
「ちょっと?にゃんのはにゃしにゃ?」
「黒歌、オーフィスを保健室に連れて行ってやってくれないか?場所は分かるだろう?」
「一応分かるけど…」
次に私はオーフィスに目を向けた。
「オーフィス。」
「良いの?」
「気になるんだろう?」
「……我、行きたい。」
「ああ、行って来い。」
そう言うとオーフィスはソファから立ち上がり、走って出て行った。
「…余程心配だったんだろうね…ただ、彼女は保健室の場所を知らないんじゃないかな?」
「…黒歌、頼むぞ?」
「…しょうがないわね、それじゃあ頑張って。」
黒歌もオーフィスを追って理事長室を出て行った。