オーフィスを追って渦の団の連中が現れる可能性を考えれば本来自由に出歩きさせるのは宜しくない…だが、だからと言って閉じ込めておくのはあまりに不憫だ…しかもこいつは他人を心配して行動しようとしている。
私に今のこいつを縛る気にはとてもなれない…黒歌とこいつなら追っ手を振り切るのは容易だしな。二人に会う事で彼女の回復に繋がるのなら尚更だ。
……無論、最悪の事態を想定していない訳じゃない。考えられる一番最悪の展開は何か?それは、彼女やその母親が連中に捕えられる事だ。その場合はどうするか?決まっている、私が助けに行く、若しくは二人を私が殺す。……単純な二択だ。私にとってあの二人が死ぬのはまるで損失にはならない…所詮、一番優先すべきなのは家族だから…そしてその中にはもうオーフィスが入っているのだ…
天秤がどちらに傾くかなど考えるまでも無い…実際、もしもの時はサーゼクスやグレイフィア、それにリアスたちやアザゼル…仲間であるこいつらを殺す覚悟を決めている私にとって全くの赤の他人であるあの二人を殺すのに一切の躊躇など無い。
二人で楽しそうに話をする黒歌とオーフィスを見ながら私は自分にそう言い聞かせていた……本当は分かっているさ、どうせ今の私にあの二人を躊躇わず殺す事なんて出来無いなんて事は…全く…儘ならないものだな…
このままただ帰るのも味気無いと言う黒歌の提案でファミレスへ向かう事にした。
「…オーフィス、もう良いにゃ?」
「うん。」
オーフィスは少食だ、恐らくクレアやアーシアよりも更に食べない…家でもあまり食べなかったし、私は外食でも食べる量は少ないのは知っているが、黒歌としては外食ですら食べないオーフィスの事が気になる様だ…
『これは…一応言った方が良いのかしら…』
『そもそもこいつの場合、人間態の状態で人の食べ物をそんなに食べた経験自体が少ないのかも知れないからな…キツく言った所で困惑するだけだろう…』
『別にキツく言うつもりは無いけど…』
同じテーブルに着いてる上、人間では無いオーフィスでは小声で話してもどうせ聴こえるんだろうが、そこはそれだ…オーフィスも空気を読んでいるのか話に入って来ようとはしないしな…
『最終的にどうするかはオーフィスに任せるさ…無論、これに限った話じゃないが。』
『良いのかしら…?』
『何が正解かなんて私にもお前にも判断する権利は無い…あるとしたらこいつだけだ…何せ、結局はこいつ自身の事なんだからな…』
そう言いながら私はオーフィスの頭を撫でた…