学園の生徒に見つかったら面倒なので、軽く話したらさっさとファミレスを出て家路に着く…その間一応気を張っていたが幸い携帯は鳴らず、家に着いてからも鳴る事は無かった…
「…結構強めにかけたからね、多分しばらくは目覚めないと思うにゃ。」
「…先に言ってくれ。」
黒歌にそう言われて私は携帯から目を離した。…全く。無駄に緊張してしまったじゃないか…
「案外、気にしてるのね?」
「…何かあったら寝覚めが悪いだろ。」
「捻くれてるにゃ。」
「…他人より家族優先だからな「家族じゃにゃいけどただの他人とも思えにゃい…でしょ?」…ふん…さぁな。」
これだとそうだと言っている様な物だな…最近の私は本当に素直過ぎる…前はこんなんじゃなかったんだが…
「それで良いのにゃ、あんたは人間に近付きつつあるのにゃ。」
「私は「……」…ハア…そうかもな。」
考えを読まれた気恥しさもあり、私は化け物だと嘯こうとして黒歌の笑顔を見て何も言えなくなる…私はこれから先、もうずっとこいつに頭が上がらないのだろう…それを悪くないと思ってる今の私がいる訳だがな。
「さてと、ちょっと出かけて来るにゃ「ん?何処に行くんだ?」テレーズの様子を見に、にゃ。オフィーリアに時々見に行って欲しいって頼まれたにゃ。」
「私は聞いてないが「妊婦の世話にゃんて出来るにゃ?」……」
「じゃ、行ってくるにゃ。」
「テレサ。」
「…んん…オーフィスか…どうした?」
暇でつい、ウトウトしていた私は身体を揺さぶられて目を覚ます、部屋にいる筈のオーフィスがいた。
「…これ。」
オーフィスが手に持っていた物を私に差し出す…これは…
「クレアの絵本か。」
クレアは漫画の他に絵本も読むので普通に部屋にある…しかし、これをどうしろと?
「…読んで欲しい。」
「……私で良いのか?」
「うん。」
頷くオーフィスを見つつ、少し困惑する…クレアは自分から読んで欲しいなんて言った事が無いからな…さて…どうしたものか…?
「……」
……悩むまでも無いか。明らかに期待しているオーフィスの目を見て私は腹を括った。
「…分かったよ……読むのが下手でも笑わないでくれよ?」
私がおどけてそう言えば力強い頷きが返って来る…そういう真面目な返しが欲しかった訳じゃないんだが…今のこいつにそこまで求めても酷か…さて、何々…
「じゃあ読むぞ?…昔々、ある所に…」
私は精一杯情感を込めて絵本に書かれた文章を朗読し始めた…
「…めでたしめでたし…さて、どうだったかな?」
「……面白かった。」
「そうか「他のも読んで欲しい」…あー…それはそこに隠れてる奴に頼め…おい。」
私は玄関に向かって声をかけた…玄関に併設されたトイレのドアが開く…
「何やってるんだ?…朱乃。」
「…申し訳ありません…出るタイミングを失ってしまいまして…」
「…だからと言ってわざわざそんな所に隠れる事も無いだろう?早く入って来い。」
「はい…」