俺比企谷八幡の目の前には生きてる内に乗ることが無いだろうと思っていた豪華客船……俺はこいつにこれから乗り込まなければならない
乗るのでは無い、乗らなければならないのだ……
「何してんだよ八幡?早く行こうぜ?」
主にこの腐れ縁の穀潰しのせいで。
俺には幼馴染みがいる……落ち着け。残念だが男共が血涙流すような話じゃない。俺の幼馴染みは男だからな。
幼稚園と小学生の頃はまあ子供だったし普通に遊んだこともなくは無い。ただ、中学の時俺がやったあることで俺が虐められるようになってから関係性は変化した。
あいつは俺と距離を取るようになった。……始めは困惑したが最終的に人間なんてそんなものと思うようになりやがてそいつは中学卒業を待たずして転校していったから結果顔も録に思い出さなくなった。
だが俺が高校を卒業し無事に大学を出、上京したあとしばらくして俺たちは再会した。
んでわだかまりは無くは無かったものの取り敢えず久しぶりの再会だったので酒を飲み、その席での俺の冗談が切っ掛けで……俺のアパートの一室に居候が増えた。
……そう居候だ。断じて最近流行りのルームシェア等ではない。
……こいつ伊藤開司は俺の部屋に転がり込んだ後、一切働こうとしなかったからな。
元専業主夫志望の俺が社畜として世間の荒波に揉まれるなかこいつはひたすら放蕩の限りを尽くした。……追い出さなかった理由?……家賃はともかくこいつ、自分の食費は一応出してたからな、親からの仕送りで。
だが、こいつは強くも無いギャンブルに手を出しスッカラカンなんてのもざらだったから俺から借金もしていた。
大した額でも無かったがそろそろ我慢も限界だった。
いい加減出ていけと言おうとしたところに現れたのが借金の取り立て。
厳密にはこいつの借金じゃなくバイト仲間の借金の保証人になったんだと。……自分で返す宛ても無いのに保証人になるとか…俺はもう呆れちまった。
そんなこいつに持ちかけられたのがとあるギャンブル勝負。
……真面目に働いて金稼ぐのなんざこいつの性に合わんらしいからな。あからさまに怪しい話だったが最終的にこのバカは受けた
んで、無関係の筈の俺は何故か今会場に引っ張り出されてるワケだ
「…随分偉そうだな。お前が土下座してどうしても一緒に来てほしいって頼むから来てやったのに。泊まり込みだって言うからわざわざ有給も取ったんだぞ。しかも急な話だったから部長にも睨まれるし…そんな態度取るなら俺は帰るぞ」
そう言って踵を帰そうとした俺の手を掴むバカ
「悪かったって!マジで怖いから一緒に来てくれよ!大金稼げたら奢るからさ!」
奢らなくて良いから帰らせて欲しいという俺の呟きはこいつの耳には入らなかったようだ