「マスターは…私が…守ります…!」
「マシュ…!」
そのあまりにも小さく見える背中を見つめる俺。…何やってんだよ…!本当に俺に出来る事は何も無いのか…!?考えろ!俺はマシュのマスターだろ!?ある筈だ!ここでマシュに守られるだけなんて男として最低だ!
…少年は考える。少しでも目の前の健気な少女を助けられる方法を。…しかし悲しいかな、普通の日常を謳歌しその実、殺し合いの経験以前にまともな勉強をサボり、意地の悪い友人に騙され(筋肉着ければモテるぞと言われた)身にまとった肉の鎧以外彼には無かった。……彼は脳筋だった…。
「…そうだ!コレだ!」
俺はマシュの背中に向かって走る…!
唸れ俺の足…!
……知識も無く着けた彼の筋肉はボディビルダー程異様な着き方こそしてないものの、運動の阻害には貢献した。彼は百メートルを二十秒で走る…。
「ぜー…はー…ぜー…はー…!マッ…マシュ…!」
「先輩!?何をやってるんですか!?早く下がって下さい!」
「そんな事出来るか!俺は…俺はマシュのマスターだ!戦えなくたって君を支える事は出来る!」
「キャッ!…せっ、先輩何を!?」
彼は少女を抱き抱えた。お姫様抱っこの体勢で。
「あっ、あの!下ろしてくだ「このまま突っ込むぞ!」は!?」
「マシュ!盾を構えろ!」
「はっ、はい!」
彼はその鈍足を唸らせ走る!
「……良いだろう。我が宝具の力受けてみるが良い!」
茶番を見せられ少しイラついていた黒き騎士王はその身に持つ人々の願いによって存在する聖剣を掲げ、解放!
「!せっ、先輩宝具が!」
「そのまま盾を構えてるんだ!大丈夫だ!俺たちなら突破出来る!」
「はっ、はい!」
「うおおおお!」
彼は走る!全力で!
「!いっ、いけます!先輩押し返せてます!」
「ぜーぜー!コヒュー!コヒュー!…」
「先輩!?大丈夫ですか!?」
「ウプ!オロロロロ!」
「ヒイイイ!下ろして!下ろして下さい!?」
一つの事に集中し過ぎるきらいのある彼は自分の後輩の言葉も聞こえず酸欠で意識の朦朧とする中、走り続ける…。
「……」
そんなゲロ男とその男に抱き抱えられる盾を持つデミ・サーヴァントという珍コンビが超スローペースで突っ込んで来るのを黒き騎士王はただ黙って見詰めていた…。
「もう良いです!もう良いですから下ろしてくだ「オロロロロ!」ヒィ!また!?」
「……」
……いっそ、とっとと二撃目の宝具を撃ってやった方があの少女には幸せなのかもしれないと、黒化し、反転した精神ながらも同じ女として彼女に同情していた。
前日酒飲んで、朝になったらこいつがスマホのメモ欄に残ってた…。