「何だ、これ…!」
「これは…一体どうなっているんだ?」
俺とマルトスさんはクール村を訪れていた。
今、クール村にて奇妙な伝染病が流行っているという。
俺たち自警団の仕事は何もクラトスの町を守るだけじゃない。…ほとんど便利屋に近い事もしていて若者の少ないクール村にも何度か訪れた事がある。…何度かここの人にもお世話になっていた俺はクール村に一人で向かおうとするマルトスさんに護衛の名目で強引に着いてきた。…最も俺の出る幕なんか無かったけど。……病気に関しても医者でも無ければマルトスさんから教えられた法術を全く使えない俺が行っても何も出来ないのは分かってた…。
……でも放っておけなかった。医学知識は無くても俺には前世での知識がある。伝染病に関しても多少は知識はあった。……所詮素人のにわか知識だけど少なくとも何か意見は出せると思っていた……でも…
「……ダメだ。これはもう人の身体じゃない。完全に石になっている…。何が起こっているんだ?」
「……」
自分の無力を嘆くマルトスさんに俺は声をかけられなかった……石のようになる伝染病なら俺も覚えがあった。でも、これは……!
「…これは石像じゃないか!?本当にこれが人間だったって言うのか!?」
「…キリト君、私が言える事じゃないがもう少し声を抑えてくれ…」
「えっ!?…あっ…」
俺は俯く女性に気付いた。…やってしまった…この人は苦しんでいる。自分の子供が石になったんだから当然だ……そんな人に俺は…!
「ご「キリト君、君が今謝ってもどうしようも無い。」……」
マルトスさんに言われ俺は謝罪の言葉を飲み込む……何やってんだ、俺は…!
「…キリト君、護衛の仕事はもう終わりだ。帰りたまえ。」
「でも…!」
「すまないが今の君がここにいても邪魔にしかならない。…大丈夫さ、きっと私が何とかしてみせる。娘たちとクラトスの町で待っていなさい。」
「…分かりました。…マルトスさん…」
「…何かな?」
「…気を付けて…」
「…ああ。君も道中気を付けて。」
憂さを晴らすかの様に俺は兎のモンスターに剣を振るう。……鬱陶しいな。でもまあいい。少しは気も紛れる。
「…向かって来いよ、ゆっくり相手してやるからさ…!」
俺は背中からもう一本の剣を抜く。……モンスターの動きが止まる…分かるのか…
「どうした?本気で相手してやるって言ってるんだ。早く向かって来いよ…!」
兎の化け物が後退りする…逃げんなよ…
「…ならこっちから行くぞ。」
俺は兎の集団の中に飛び込んだ。