あの日から俺の日課に変化が訪れた。
「キリト!後ろだ!」
「分かってる!」
俺の朝の鍛錬にドーンとミリーが参加する事になった(ラティも来る事になっているが姿は見えない。まあ何時もの寝坊だろう)
「…お前何時もこんな無茶やってたのか。」
「いや、昔からやってるけど。…そんなに無茶か?」
数をこなす。ただそれだけ。SAO時代のパワーレベリングと何ら変わらない。…まああっちと違いここはリアルだから数値による目に見える変化は無いし、敵も変わり映えしないから正直に言えば大して鍛錬になってるのかも怪しい…。まあここがあの世界に似てるから癖になってるのかもしれない…。
「一人でこんな事やっても仕方ないだろ?これからは俺たちにも声をかけろ、良いな?」
「……」
「ちょっとキリト!?返事は!?」
「…はいはい。仰せのままに。」
「はいは一回で良いの!」
…思ったより元気そうだな…そう思っているとドーンが近づいて来て俺に耳打ちした。
「…あれでもかなり無理してるんだ…。今日だって多分ろくに寝れてない筈だ。」
「そうなのか?」
言われて見ればミリーの目の下にはくっきりと隈がある…。
「…なら、俺の事を気にしてる場合じゃないだろ?」
「こういう時は何かしてる方が落ち着くもんさ。やばそうなら俺が無理にでも休ませる…。大体、お前を心配してるのは俺もミリーも同じだ。…少しは自分の事も気にしろ。」
「……分かったよ。」
まあ仲間を心配させて迄無理をするつもりは俺も無い。
「結局ラティは来なかったな。」
「基本あいつは寝坊するからな。俺からしたら何時もの事だよ。」
「全くラティは!早く起こしに行きましょう!」
…と、三人でラティの家へ。ミリーの様子を見るにかなりえげつない起こされ方をする事だろう。…どう考えても自業自得だし同情はしないけど。
「……頭が痛い。」
「でも、目は覚めただろ?」
「逆だよ。まだ目の前を星が舞ってる…。」
ラティは結局ミリーお得意のプレスで起こされた。…何と言うか…凡庸性は高いよなぁ…。
「何よ!ラティが早く起きないから悪いんでしょ!」
「しょうがないだろ。昔から朝は苦手なんだからさ。」
「いやさ、ラティ?そんな事言ってたらずっとそのままだぞ?もし、盗賊が夜襲でもかけてきたらどうするんだ?そんなんじゃ対応出来ないだろ?」
実際問題向こうからしたら白昼堂々攻めてくるより本当はその方が成功率は高い筈だ…不思議と今までされた事は無いけど。まあ向こうも暗いと襲撃は逆にしづらいんだろうけどさ…。
「うっ。…分かってるよ。次からはちゃんと起きるようにする…。」
…と言いつつ次も寝坊するんだろうなと俺はラティの顔を見ながら思った。