「…ラティ、起きろ。」
「…う~ん…。」
「…早く起きないとミリーがまたプレス使うぞ」
「え!?分かった!起きる!」
「…キリト?「事実だろ?」むー…。」
「まあまあ。寝坊助が起きたんだから良いだろ。」
鍛錬に仲間がくっついて来てるのは別に良いけど……何で俺は本当に行く気があるのか分からない奴をわざわざ起こしに来なきゃいけないんだ…?
「…付き合わせて悪いな。キリト。」
「…良いって、気にするな。…ミリーの気持ちも少しは分かるし…様子を見る人間も多い方が良い。」
だからってわざわざコイツを起こす意味があるのかは分からないけどな…。確かにドーンはともかく、今のミリーはあまり一人にしたくないけどさ…やっぱり三人で自警団本部に泊まる方針にすべきだろうか?毎朝家に起こしに来るのも面倒だし。
「さて、行くか。「寝坊した奴が何仕切ってるんだ?」ごめん…」
「おい、冗談だからそんな凹むなって。」
「そうそう。リーダーはお前にしか務まらないよ。…だからせめてもうちょっと早く起きて欲しいんだけどな。」
「…ごめん。善処する。」
それはしない奴の台詞だな。…ラティも有事の際は頼りになるんだけどな…。今回の事件、ラティに近いようで遠いからな…何処か退屈な日常の域を抜けないのかもしれない…マルトスさんを信頼してると言えばそれまでだけど。…正直俺はこの一件はそう簡単に終わらない気がしている…。SAO時代に培った俺の危機察知能力は自分で言うのも手前味噌で恥ずかしいけど確かだと思っている……この世界に来てから感じた事は無かったけど…最近は煩いくらい頭の中で警鐘が鳴り響いてる気がする…。単なる気の所為であって欲しいんだけどな……
「キリト?どうした?」
「…別に何でもないさ、ドーン。」
「…それなら良いが何かあるなら相談しろ。俺で良ければ何時でも聞く。」
「普段お前の悩みを聞いてるのは俺なんだけど…。」
「茶化すなよ。真面目に言ってるんだ。…確かにその通りだけどさ、俺だって聞いて貰ってばっかりじゃないっての。」
「……悪い。そうだな、冗談が過ぎた……分かってるさ、何かあったらちゃんと相談する……」
「…なら、良いけどな。」
背を向けるドーンに俺は心の中で謝罪する。
ドーン…悪いけどまだ言えないんだ……俺にもこの不安の原因が何なのか分からないから……だから、ごめん。
俺はラティたちに追いつくと並んで歩く。
……この時の事を俺は後悔してる…せめてドーンにだけでも言っておけば……あの時の悲劇は防げたのかもしれないと。でもこの時の俺には分からなかった。……俺は何にも気付いてなかったんだ……