「…来たか。」
思ったより早かっ…怖っ!まだ距離があるのに怒気が伝わって来るぞ!?
「……キリト、俺たちが何を考えてるか分かるな?」
「…ああ。俺を殴りたかったら好きなだけ殴るといい。…でも、ミリーは責めないでやってくれ…。」
ミリーは父親の事が心配だったから暴走しただけだ。…ここで罰を受けるのは俺だけで良い…。
「潔良いな…俺たちだって分かってるさ。お前を責めたって仕方ないのは…だから不問にしてやる……ラティ?それで良いな?」
「……ああ。」
「…そうか。……ミリーは中だ、行ってやれよ…。」
「…お前はどうするんだ?」
「見張り。村がこの状態じゃモンスターも入り放題だからな…。」
「……分かった。行くぞ、ラティ。」
「…出来るだけ早く戻るからな。」
「それはミリー次第だろ?ゆっくりで良いさ…。」
多分ミリーがマルトスさんに会えるのはこれが最後だからな、悔いを残さないようにして欲しい…。ははは…あの頃と何も変わらない…俺は無力だな…仲間の親父すら助けられない……!
「…ごめんな、ミリー…」
身勝手だ。こんな保身欲に塗れた言葉はミリーには絶対聞かせられない。
三人でクラトスの町へ戻り今は深夜。……俺は家の屋根の上にいた。
「…やっぱりな。」
家を出て北に向かうミリーの姿が見えた。
……恐らくメトークス山に向かうつもりだろうな。
メトークス山はクール村より更に北にある山だ。ここの頂上には万病に効くという薬草が生えている……が、俺はもちろんそんな事は信用していない。少なくともクール村を襲った石化病を治す効能は無いだろう…。
しかもメトークス山にはフェルウォームというモンスターが棲息している。
俺は以前こっそり一人でメトークス山に行ったことがあるがこいつらが案外手強く一体一体はそれほど倒すのに苦労しないものの複数集まると俺でも一人では辛い。増してやミリーは法術使い…一人では不味い。
俺はミリーを止めるため下に降り…!ドーン?
ドーンがミリーを呼び止め会話を始める……二人の声は距離があるので良く聞こえない。…!ドーン!?
「どうしたの!?大丈夫!?」
「…痛!」
「どうしよう…!そうだ!私誰か「ミリー!」キリト!?」
「取り敢えずラティを呼んでこい!ドーンは俺が見てる!」
「わっ、分かった!ドーンの事お願いね!」
「…ドーン?」
「近付くな。…お前なら分かるだろ?」
「…まさかお前、感染してるのか…!?」
「…多分鳩に触った時だ。」
そうか!石化病が人間以外の動物に感染しない保証は無い!もちろん逆も…!
「…キリト、あいつらには言うな。」
「!何言って「分かるだろ!?」くそっ!」
多分俺がずっと感じてた危機感はこれだったんだ!あの時ドーンには言っておけば…!俺のせいだ!
「……分かった。だけど、いよいよキツくなったら言えよ。俺が無理矢理にでも家に連れて帰る。その条件なら言わないでおいてやる。」
「馬鹿を言うな。そんな事したらお前が「俺は仲間を見捨てない!俺は仲間のために石になるなら本望だ!」馬鹿野郎…!」
もう俺がドーンにしてやれるのはこれしかない…!