分かってた。ラティもミリーも馬鹿じゃない。ドーンが感染している事はすぐに気付く。…だから……
「…ねぇ…キリトは知ってたんでしょ…?何で言ってくれなかったの…!?」
ミリーが俺をひっぱたき、俺を涙目で睨みつけているこの状況は確実に予想の付いた事だったと…
メトークス山の道中は比較的順調だった。俺たち四人はしっかりフェルウォームに対応出来ていた。…問題があるとすれば、それは…
「ドーン?どうした?」
「…いや、…何でもない。」
時折様子の可笑しくなるドーンの事だろう。明らかにドーンを怪しんでいる二人と裏腹に俺はドーンの不調の理由を知っていた…俺が二人に伝えようとする度に視線を送ってくるドーン…くそっ。思ったより罪悪感があるな……ああ、分かってるよ…ドーン…ギリギリまで黙っててやる…だから…そんな顔するな…。
……俺の選択が間違ってたのかは分からない…でも今、はっきり言えるのは……
「何とか言ってよ…!キリトは気付いてたんでしょ!?何で言ってくれなかったの!?」
「ミリー…キリトは「ドーンは黙ってて!」…ミリー…」
さっき無茶を咎められて正座で説教された時なんかより今、ミリーに涙目で糾弾されてる今の方がずっと堪えるって事だ…!
「…ミリー、キリトを責めるのは後にしよう。もう、時間が無い。薬草さえあればドーンも、マルトスさんも、きっと助かる…だから先を急ごう…。」
「……分かった。」
それだけ言うとミリーは俺とドーンから目を逸らした。
「…キリト、悪かったな…俺がお前に「良いんだ、ドーン…」キリト…」
「…先を急ごう。」
「…ああ。」
言葉も無く俺たちは先を進む……鬱陶しい筈のフェルウォームがいる事が少し有難かった…こいつらは手強い…こいつら相手に気は抜けないから…戦ってさえいれば余計な事を考えずに済む…。
「…ヒール。」
「…ありがとう、ミリー…」
「…うん…」
……鎧に付いた卵を叩き落としつつミリーに回復してもらいどんどん進んでいく…あと少しで頂上だ…。
頂上付近に着くと連中の姿が無くなった……前回ここまで来たことは無いから知らなかったけど…もしかしたら奴らは頂上付近では生きられないのかもしれないな…。
「…あれが薬草だ。」
「…あれを持って帰れば…」
「…ミリー、行ってこいよ、ドーンは俺たちが見ておく。」
「…俺は大丈「には見えないぞ。大人しくしてろ」……わかったよ…。」
さっきからドーンが立ちくらみを起こす頻度が上がっている…多分そろそろ限界が近いんだろう…。……このままでは…あの薬草が未知の病気である石化病に効くとは思えない…でも俺も信じたくなった…。仲間が目の前でこんなに苦しんでるのに…俺は何も出来ないから…!
「……分かった。行ってくるね…?」
そう言ってミリーが薬草を取りに…!何だ!?突然目の前で目もくらむ様な強い光が…!俺は思わず目を細める……光の中に誰かいる…?くそっ!一体何が起こってるんだ…!?
やがて光が収まるとその場に先程まではいなかった二人の人物が今、俺たちの目の前にいた。