さっきよりも長くしかも至近距離で目をやられたためか、いつの間にか閉じてしまっていた目を開く。…既に視界を遮る光は無くなっており、そこにはあっちでは有り得ないほど機械的な部屋が広がっていた…最も今世で見た事が無いだけで、向こうなら…いや、ここまで近未来的な部屋はGGO位でしかお目にかかった事は…いや、それこそテレビでは見たか…無論創作物の話だが。
「ここは何処だ!?」
「ここが私たちの船さ。」
狼狽えるラティたちを他所に俺は内心多少動揺はしていたものの、付近を油断無く目だけを動かして見回していた。…何も無いとは思うけど、初めての場所に連れてこられて警戒しないようなら俺は生きては来れなかった。…これは最早癖の様な物だ。
「では彼をメディカルルームに案内しよう、着いてきたまえ」
そう言う男の先導で俺たちは部屋の外…
「…んぎっ!?」
俺の足に今まで忘れていた痛みが走る…!そう言えばさっきまで正座してたっけ…くっ…!たっ、立てないぞ…。
「…大丈夫?」
さっきの男女のうち、女性の方が声をかけてきた…どうも待っていてくれたらしい…つーかあいつら俺を置いて行くなよ…。
「…大丈夫です「本当に?」…すみません…てっ、手を貸して下さい…。」
凹みながらも俺は手を伸ばす…取り敢えず立ちあがれれば何とかなるはず…
彼女はニコリと微笑むと俺の手を掴む…ん?この手…俺がその手に軽い違和感を感じていると彼女は思ったより力が強いらしくそのまま俺を引っ張り上げた…
「歩けるかしら?」
「…すみません、肩も貸してください…。」
「ええ。良いわよ。」
クスクス笑う彼女に肩を貸してもらいながら歩く…ちなみに少し彼女に見蕩れてしまったのは内緒だ。…と、黙ってるのも何だ、さっき気になった事を聞いてみるか…。
「…何か武術の心得が?」
「あら?良くわかったわね?」
「武術をやってる人は手に特徴があったりしますから…。」
「ああ…成程ね。ちなみに私に限らずこの船に乗ってる人は何かしら自営の手段を持っているわよ?」
「へぇ…。」
何かやっぱり軍人みたいだなぁ…少なくとも民間の人間じゃ無さそうだ。
彼女に肩を貸してもらいながら自動ドアを通る…
「…驚かないのね?」
「何がです?」
「貴方たちの価値観では扉が自動で開いたら天地がひっくり返る程の衝撃じゃないの?現にさっきの彼らは驚いてたし…。」
「……」
しまった。迂闊だった。どうもこの人は親切の為だけに残った訳では無いらしい…。
「…正直に言うと貴方だけ彼らと明らかに雰囲気が違うから私が観察するように言われたの。」
はっ?
「…バラして良いんですか、それ?」
「何か貴方には隠し事しない方が良さそうだし…それに…」
「それに?」
「少なくとも悪い子じゃないと思ったのよ。…取り敢えず貴方が隠してる事についてはこの場では追求しないわ。…彼らにバレたくないんでしょう?」
「…助かります。」
俺は少しだけ彼女を信用する事にした。