「…本当に良いのか?」
「元々ここに私の居場所は無いから…それなら、日本に行ってみるのも悪くないかなって…そもそも、使徒の侵攻が有るのは基本的に日本だってのはもう分かりきってるじゃない…なら、私は日本に行くのが自然でしょ…てか、加持さん?」
「何だ?」
「…既に決定事項なんだから、最初から私の意思は関係無いでしょ?」
「まぁ、そうだが…ハァ…全く、昔から変わらないなお前は…可愛気が無くて子供と話してる気がしなくなる…」
「…そんなの有ったらいくらツテが有ったにしても人型の巨大兵器のパイロットに自ら志願なんてしないでしょ…ま、あくまで結果そうなっただけで…別に私の意思が通ったって話じゃないけど。」
「そこも変わらないな…もう少し自己評価を上げたらどうだ?」
「興味無いわ。私は出来もしない事を言うのは嫌いなの…そんなの滑稽でしかないじゃない……話が逸れたけど、決定事項をどうやって覆すの?…何か策でも有るのかしら…スパイさん?」
「…お前にそれがバレたのが俺の最大のミスだ…と言うかあんまりデカい声で言わないでくれ、誰が聞いてるか分からん…」
「ほぼほぼバレてると思うけど?」
「それでもだ、全く…ハァ、とにかくだ…俺にだってお前を連れて逃げる気概くらい有るんだぞ。」
「虚勢張ってもみっともないだけよ?半分子供のまま大人になった様なものなのに…」
「お前がそれを言うのか?」
「私はただの子供、部は弁えてますよ…取り敢えず…日本までエスコートをお願いします、加持一尉。」
「気持ち悪いから俺しか居ない時に今更取って付けたような敬語を使わなくて良い…ハァ…向こうでは大人しくしてろよ?」
「あちらの出方次第ね…やりにくいと思ったら、動きやすい様に色々引っ掻き回すつもり…もちろん、その時はまた手を貸してね?」
「…たくっ…本当に面倒なガキだよ、お前は…」
「言ってる内容と表情が一致してないわね…子供にこき使われるのがそんなに好き?前から思ってたけど…加持さんってマゾなの?」
「ろくでもない言葉ばかり覚えてるな、本当に…その疑惑は俺の名誉に懸けて否定させて貰う…ま、強いて理由を言うなら…それはそれで楽しいからだな、向こうでも退屈しないで済みそうだ…」
「とか言っちゃって…日本に行くのが楽しみなのは、未練タラタラの昔の恋人に会えるからじゃないの?」
「あいつは今更俺の事なんて相手にしないさ…」
「どうだか…何にしても、あんまり方々に粉掛けないでよ?こっちの二の舞は御免だから。」
「アレは俺の楽しみの一つだし、仕事の一環でも有るから無理だな。」
「…必要以上に派手にやるならこっちでの女性事情全部ぶちまけるけど、それで良ければ好きにしたら?」
「知ってるか?証拠の無い発言は嘘と変わらな「そこのリュックに大量の逢い引き写真入ってるけど、確認してみる?」…お前、それは反則だろ…」
「最初に乙女のプライバシーを侵害したのはそっちでしょ…ま、向こうでも刺されたくなかったら程々にしてね?」
「ハァ…訂正する、お前は面倒なだけでなく滅茶苦茶怖いクソガキだ…」
「クソ大人に言われたくありませ~ん!…一途でいないからそうなるのよ、これに懲りたらさっさとヨリ戻せば良いのよ…せっかく会えるんだし。」
「たくっお前は…自分の恋愛でも心配してろ、今時その歳で彼氏の一人も居ないのは問題じゃないのか?」
「まだ私は十四だから良いんですぅ……まぁ、そもそもあんまり興味無いし…」
「…悪かった、お前にこの手の話題は禁句だったな…」
「…良いの、気にしないで…私から始めた様なものだし…ふぅ…ま、全く出会いが欲しくないってわけでもないんだけどね…理想が高過ぎるのかしら…まぁ、そもそも同年代の男子との良い出会いも無かったけど。」
「そこで自分を高嶺の花とか言わないのがお前だよな…」
「顔が良いだけで何も出来ない女とか下の下でしょ…まぁ、半端に磨いただけで後はひたすら男に媚びまくってる女もどうかと思うけど。」
「改めて思うが…つくづく子供らしくないよな、お前…ちなみに、向こうにはお前と同年代の男子のパイロットが居るぞ。」
「…カッコイイの?」
「いや、どちらかと言えば単純に線の細いタイプだな…押しも弱い様に思う…いっそお前好みに染めてみるのも有りなんじゃないか?」
「面倒臭いから嫌。」
「お前にとって数少ない男との出会いだ、ここを逃すともう無いかも知れんぞ?」
「じゃあ二十歳まで粘って、パイロット辞めてから適当に見繕う…その方がまだ楽そうだし。」
「出会いが欲しいんじゃなかったのか?」
「だって何か面倒そうなんだもん、その男…まぁ、ボーイフレンド扱いにはなるかもだけど。」
「やれやれ…出会う前から落第か、同情してしまうね。」
「そんな事微塵も思ってない癖に。」
「男としてはな、ハナから眼中に無いってのは結構傷付くもんなんだよ。」
「へぇ…じゃあ加持さん?」
「何だ?」
「私と付き合うって言うのは「無い無い、天地がひっくり返ったって無い」眼中に無いと傷付くとか言うから言ったのに…また私を振るんだ…」
「いい加減懲りろ…大体、子供に手を出す程女に困ってないんだ……そもそも、本気でも無い癖にそう言う事言うな。」
「まぁ、そうなんだけど…と言うか、説教はやめた方がいいんじゃない?何かおじさんっぽいし…」
「もう片足は突っ込んでるから屁でもな「片足とかじゃなく…普通に私から見たらおじさんよ」…その…親戚の、的なやつか?」
「ううん、違う…リアルおじさん。」
「まだ俺はわか「最近、加持さんから変な臭いがして来るんだよね…加齢臭じゃない?」……」
「…いや、そんなに焦って嗅がなくてもコロンの匂いしかしてない…冗談で言ったんだけど、実は結構気にしてた?」
「入浴回数増やすか「程々にしといた方が良いわよ?あんまりやると皮脂落とし過ぎて余計に臭くなるから」…ハァ…やめるぞ、この話…さて、もうそろそろ着くから猫被る準備しとけ。」
「…了解しました、加持一尉。」
「まだやらなくて良い…暴れるのは着任が確定してからにしろよ?今問題起こしたら、最悪即座にこっちに逆戻りも有り得る…」
「え…本当に?」
「自分の素行の悪さは自覚してるだろ?」
「分かった、大人しくしてる…日本の地を一度も踏む事無く出戻りとかなったらさすがにカッコ悪いしね…」
「分かったなら良い…良し、行くぞ?」
「…Wenn ich dorthin gehe und Sie brauche, werde ich mit Ihnen in Ihrer eigenen Sprache sprechen.(向こう行ったら用が有る時はこっちの言葉で話しかけるから)」
「Ich bin sicher, einige von ihnen können Deutsch...(向こうはドイツ語分かる奴も居そうだがな…)」
「Das ist besser, als in offenem Japanisch um einen schlechten Gefallen zu bitten.(やばい頼み事を堂々と日本語でするよりマシだから)」
「Nun ja, sicher...(まぁ、確かに…)…ふぅ…確認も済んだところでそろそろ行くぞ。」
「は~い……Na gut, ich hoffe, es gefällt Ihnen ein bisschen...(さてと、少しは楽しめると良いんだけどね…)…ま、正直望みは薄そうかしら…」