「グズグズしてる時間は無い。整備士共が気付く前に艦橋に向かうぞ。」
ラティたちとは何だかんだ数日くらい会ってなかったが、再会の挨拶もそこそこにすぐに艦まで向かう…整備士を適当に丸め込み、強引に中へ入って行くロニキスさんに呆れ半分、感心半分の複雑な心境になりながらロニキスさんの後について歩く…
「……」
気を使ってくれたのか、待ち合わせ場所に着くとイリアさんはすぐに俺から離れ、俺はこうして今もラティとミリーの二人と一緒に後ろを歩いてる訳だが…
「…ミリーは機嫌悪そうだな…」
ミリーは先程会った時からあからさまにムスッとして黙ったままだった…
「お前の無茶に怒ってたからな…」
「そっか…ちなみにお前は文句無いのか?」
ラティは俺に「久しぶり」と声をかけただけ、そこからは普通に雑談と変わらない話をしていたし、奴からはあの一件について触れて来なかった。
「…お前がやらなかったら俺がやっていた…いや、これは言い訳だよな…結局お前がやってしまったし…とにかく今回は俺からは何も言う事無いな。」
「そうか…」
艦橋に辿り着き、イリアさんとロニキスさんが艦を発艦させて行く…ちなみに今回のこれは発案者はロニキスさんらしい…どうもかなり破天荒なタイプの様だ…それに今回助けられてるんだから文句は無いが。
「ロニキスさん…」
俺はやがて手の空いたロニキスさんに声をかけた。
「何かな…?」
「あの…ありがとうございました…俺の事、上に掛け合ってくれたそうで…」
イリアさんの話によれば俺は厳罰に処される所をロニキスさんが庇ってくれた事で一週間の拘留で済んでいる…結局途中で出て来る事になった訳だが…
「良いんだ…結局君の為に私が出来る事はそれくらいしか無かったからね…最も、本当は拘留自体無しにしたかったんだが…」
「それは…無理でしょう?無抵抗の相手をあれだけ殴ったんですから…」
とは言え、取り調べに当たった奴はそう思っている様だし、俺もそれに特に文句をつけてないがそもそも相手は無抵抗だったのでは無く、俺が抵抗させなかっただけなのだ…客観的に見たら相手は弱く、ろくに抵抗も出来無かった…そう見えても仕方無いが…
「…実際は無抵抗だった訳じゃないんだろう?」
「鋭いですね…でも、あの状況で相手が仮に反撃していてもそれは正当防衛。先に俺が手を出した事実は変わりませんから…」
そう、変わらないのだ…例え、武装放棄した状態での話し合いを提案した側が、普通に武器を持ってあの場に来ていたとしてもだ…俺も殴るまで気付かなかったし、それを理由に使うつもりも無い。ただ、あの状況、相手が動けなくなるまで殴り続けなければ俺は多分死んでいた筈だ…ラティたちが巻き込まれていた可能性もある…俺に途中で止める選択肢はそもそも無かったんだ…