「ちなみに彼らが持っていた武器と言うのは…」
「…二人の内、片方しか確認出来ませんでしたし、俺も実物を見るのは初めてですが…恐らくはコイルガンかと…」
あの螺旋状の金属…とは言え、俺もGGOで似た様な物を見てなければ気付いたかどうかは怪しい…ちなみにGGOではかなり旧式なエネルギー兵器という設定だった記憶がある…
「…それはまた…随分アンティークな代物だな…」
「やっぱり古いんですか?」
「…我々人類が本格的に宇宙に進出する少し前に製造された銃だからね…試作品はかなり大きな物で数年後には小型化には成功したが…今ではもっと性能の良い銃を使っている。」
「…威力が下がるにも関わらず、古いのを持ち出すメリットって何かあるんですか?」
「強いて言うなら、現状採用されているセンサーをほぼ素通りする事かな…」
……十分じゃないか。
「多分相手が生身の上、至近距離なら殺すのは容易いでしょう…暗殺には持って来いですね。」
「確かにな「貴方が失念していた様には思えませんが」そりゃそうだ、上の落ち度だからね。」
何処もそんな物か。
「…さて、そろそろ着く…準備をしておきなさい。」
「はい。」
転移の光に包まれ、俺は件の惑星ストリームの地に降り立った…正直まだ慣れない…
「…レゾニアの密使によればウイルスを手に入れる為、例の第三勢力はロークに向かった。」
「今から考えたら何百年も前の話ですよね…」
「そうだ、我々よりもはるかに文明の進んだ連中に違いない。」
ロニキスさんたちよりも進んだ文明…正直真っ向からはぶつかりたくは無い相手だ…
「私たちもこれから同じ時代に飛び、ウイルスを入手する。」
「その前に番人が私たちを受け入れてくれたらだけどね…」
惑星ストリームのタイムゲートには番人がいるのだそうだ…AIか何かかと思ったがそうとは感じられないらしい…最も、俺は人とほとんど変わらない超高度なAIを見た事がある訳だが。
「番人よ!ゲートを開いて欲しい!我々は三百年前のロークに行きたいのだ!」
ロニキスさんがそう声をかけ、番人の声が聞こえ…その時俺は正直それ所じゃない問題を抱えていた。
『汝は何者か?』
『っ!番人なのか…?』
何処からか耳に届く番人の声とは別に俺の頭の中でもう一つの声が響いていた…周りを見渡すがどうも聞こえているのは俺だけらしい…
『問いに答えよ…汝は一体何者なのか?』
『どう答えれば良い…いや、あんたは一体俺にどんな違和感を感じた…?』
『汝はここにいる他の誰とも違う特徴がある。』
『それは…?』
『今の自分と違う別の自分の記憶…それを汝は持っている。』
『そうだ…俺には前世の記憶がある…これで満足か?』
『汝はこれから行く場所で一つの重い選択を迫られる。』
『何だと?』
三百年前のロークに俺にとって重要な何かがあると言うのか?
『それはどういう意味だ?』
『……』
『おい!返事をしろ!?』
「キリト?どうした?」
ラティが俺に声をかけて来た…横にイリアさんが立っている…
「早く行こうぜ、二人はもう行っちまったからな…」
「分かった…」
二人が俺に背を向けて何時の間にか出現していたタイムゲートらしき穴に飛び込む…
「結局俺は何をすれば良いんだ?」
返事はもう返って来ない…俺は溜め息を吐くとゲートに飛び込んだ。