「…っ…!…ん…ここ…は…っ!」
俺は硬い地面の上で目を覚ました…見知らぬ場所、それも外で寝てるなんて!そう思って一気に身体に怖気が走った俺は飛び起き、周りを見渡す…
「…ここは…クール村の近くか…?」
よくよく見れば俺が良く見慣れた場所だ…俺は本当に過去のロークに来れたのか…?っ!
「誰かが戦っている…!」
聞き慣れた金属音…それは明らかに武器と武器がぶつかり合う音…!
「あっちか!」
俺はその音が聞こえた方向へ走り出した。
「っ!…これは…」
ラティたちかと思って来てみたが、そこにいたのは見知らぬ男だった…少なくとも会ったのを忘れてるなんて事は有り得ない…こんな筋骨隆々、逆立った髪なんて特徴的な奴を忘れてるなんて有り得ない…そもそも良く考えたらここに来る前に俺たちは武器を手放した…金属音を立てられる訳は無い。
「……」
男は大声を上げながら複数の敵と戦っている…あの出で立ちは盗賊か…?何でかこの世界の盗賊は皆似た様な格好してるんだよな…それはまぁともかく…ラティたちでないなら俺がここにいる理由は…っ!?
「凄い…!」
俺はその男から目が離せなくなった…両手剣を持ったその男は一見適当に剣を振り回している様に見えて実際は相手の急所を的確に捉え、一人ずつ確実に仕留めていた…自分から仕掛けるだけでなく、取り回しのしづらい筈の両手剣で時にカウンターすらやっていた…俺は今までここまで両手剣を上手く使える奴は前世でも見た事が無い…!
「くそっ!本当にうざってぇ!テメェらしつこいんだよ!」
「不味い…!」
男が苛立ったような叫びを上げる…恐らく我慢の限界に達したのだろう…盗賊はまだそれなりの人数が残っている…集中力が切れてしまえば…!
「チッ「ヒャハ!貰ったァ!」なっ!?」
男が一人の剣を受け止めた時、別の奴が斬り掛かって来た…
「っ!止めろ!」
俺は思わず隠れていた場所から飛び出すと走り出していた…今の俺に武器は無い…!このまま飛び込んでもあの男を助けられない…!どうすれば…あれは!?俺は盗賊の方に向かっていた足を止め、強引に方向を変えると男の方に向かって走り出した。
「新手か!?「借りますよ」なっ!おい!お前!?」
俺は男の腰に刺してあった鞘から剣を抜くと男に斬り掛かろうとした奴に向かって走った。
「何だお前は!?」
「ハアッ!」
適当に繰り出した突きは相手の喉を貫き、相手はそのまま俺に向かって崩れ落ちた。俺は剣から手を離し腹を蹴り飛ばした…仰向けに倒れた男の身体を踏み付けながら剣を抜く…ふぅ。
「…味方って事で良いのか?」
その声に振り向くとあの男が頭の後ろを掻きながら立っていた…足元に一人倒れているからさっきの奴はきっちり仕留めたらしい…
「…ええ。」
「そうか…取り敢えずもう少し手伝ってくれねぇか?」
周りを見ればまだ何人か盗賊は残っている…
「…断れませんよ…ここで逃げてもこいつら俺を追って来るだろうし…」
「だろうな。」
そう言って男が笑う…犬歯の見えるせいでめちゃくちゃ凄味があるが、不思議と恐怖とかは感じられなかった…
「俺はシウス・ウォーレン…お前は?」
「キリト・ツーベルクと言います…」
俺がそう言うとまた男は笑った…何だ…?
「堅苦しいのは苦手なんだよ…俺の事は呼び捨てで良い。」
俺がこの男を助けたのは間違いじゃなかったのかも知れない。
「…分かったよ、シウス。それじゃ、先ずはここを切り抜けるか!」
「おう!」