「改めて礼を言わせてもらうぜ「いや、もう良いって」そうか?」
何とか盗賊を片付けた後、シウスが頭を下げて来たので上げさせる…やれやれ…筋骨隆々な身体を見せびらかすかのように上半身は裸だし、口調も荒いから極端にサバサバした奴なのかと思えば、実際はかなり律儀と言うか、義理堅い奴だったみたいだ。
その後…一応相手は悪党とは言え、死んでしまったらもう関係無いと二人で意見が一致し、連中の死体を弔った。
「あ、今更だけど剣を返すよ「いや、良い。俺にはこいつがあるからな…そいつはあくまで予備だったんだ。ろくに使ってなかったし、お前にやるよ…貸しも出来ちまったしな」…そうか?なら、有り難く…」
投げ渡された鞘を受け取り背中に着ける…いや、本当に有り難い…体術もある程度は出来るけど、そこまで自信がある訳じゃないし、武器屋で買おうにも三百年後の金が使える訳も無いだろうから正直助かる。
「…つか、助けて貰って何なんだけどよ…」
「何だ?」
「お前、こんな所で武器も持たずに何やってたんだ?…どうやら体術も達者な様だけどよ…明らかにお前は剣の方が扱い易いだろうと踏んだんだけどよ。」
「あー…」
そりゃ気になるよな…とは言え、当然詳しい事情は話せない…と言うかそもそも信じて貰える訳無いけどな…
「訳ありか。」
「え?」
「お前の顔見てたら何となくな…言いたくねぇなら別に良い。」
「…ありがとな。」
やっぱりこいつは悪い奴じゃないみたいだ。
「…で、だ…俺としてはお前に酒でも奢りたいくらいだが「いや良いよ…この通り剣まで貰ったし」俺はお前に命を救われたんだぜ?んなもんじゃ足りねぇよ…」
参ったな…俺は早くラティたちを探しに行きたいんだけどな…
「とは言えだ…」
「ん?」
「残念ながらここから近い町に酒場はねぇ…その代わりと言っちゃあ何だが…キリト、お前何か困ってる事はねぇか?」
「そうだな…それなら…」
「仲間とはぐれたか…そりゃ難儀だな…」
「多分近くにいるとは思うんだよな…」
多分…いる、筈…正直ゲートの仕組みが良く分からないから俺だけ変な所に飛ばされていても何ら不思議は無い。
「…で、俺に町に案内して欲しいって訳か?…お前道も分からずに本当に何やって…いや、良い…さっきも言った通り事情は聞かねぇよ。」
「ああ、助かるよ。」
結局律儀に俺に恩を返そうとするシウスに町に案内して欲しいとお願いした…一応見慣れた道の様に見えて俺が勘違いしている可能性があったからな…正直、ここが本当に三百年前のロークだとしたら地理も変化した可能性も考えなきゃならないし…
…とは言えシウスの先導で歩きつつ周りを見るが、俺の記憶と特に差異は無さそうだ…間違いなくここは俺の良く知ってるクール村に向かう為の街道だろう…最もこの先にあるのは町らしいが。
「取り敢えず町に着いたら俺は町の人に仲間の事聞くからそこまでで良いよ…シウスだって自分の旅の目的があるんだろ?」
「まあ、な…」
「なら、町に着いたらそこで別れよう。」
「そうだな。」