「着いたぜ、ここがホットだ。」
俺は周りを見渡す…俺が記憶にある村の姿とはとても似ても似つかない…どちらかと言えば、俺の住んでるクラトスに近いだろうか…?
「ありがとう、助かったよ…シウス。」
「気にすんな。助けられたのは元々俺の方だ…ん?じゃあキリト、ここで良いか?」
シウスがそう提案して来る…先程の視線の先から察するに目の前の露天商に興味を持ったのだろう…看板を見るにどうも武器屋の様だが…露天商という事は当然各地を回っている筈だ…ラティたちが近くにいない可能性も考えれば出来る事なら誰よりも先に話を聞きたいが…
「分かった、じゃあな。」
ここはシウスに譲るとしよう、向こうは俺にこの長剣を渡してくれた事だし…俺はシウスから離れ、近くにいた町の人に話し掛けた…
「そんなもんいるか!ふざけんな!」
シウスのそんな怒鳴り声が聞こえて来て溜め息を吐く…ちょうど今話していた町の人は苦笑いを浮かべている…
……何があったのかは知らないけど行かないと駄目だろうな…少なくともこの人の位置からは俺がシウスと一緒に町に入って来たのは見えてただろうしな…
「…すみません、ちょっと失礼します。」
俺は町の人にそう言ってシウスの所まで向かおうとしたがそうするまでもなくシウスはこっちに向かって来ていた…ん?…いや、今はシウスを宥めるのが先かな。
「シウス、どうした?」
「どうもこうもねぇよ…あのオヤジふざけた事抜かしやがって…!」
「詐欺か?」
「…そこまでは…言わねぇけどよ…」
…大方、売り物の剣を店主が自慢したんだろうが…実際は鈍でそれを経験から見抜いた短気なシウスがキレて叫んだ…って所だろうか…正直、俺もこの短時間でもうシウスの性格は何となく把握出来ていた…それはそうと…
「シウス…」
「ん?」
「紹介するよ…今、お前の後ろを歩いているのが俺の仲間だ。」
「お、そうなのか?」
「ああ…ラティ!」
「え…キリト!?」
「え!?キリト君!?」
ラティたちがこっちに向かって来た。
「お前何処にいたんだよ…!探したんだぞ!?」
「悪かったよ…と言ってもこっちもお前らを探してたんだよ…と、紹介するぞ、こいつはシウスだ。」
「シウス・ウォーレン…宜しくな。」
「ラティクス・ファーレンスです、ラティと呼んでください。」
「おいおい…堅苦しいのは勘弁してくれ…俺はシウスで良い。」
「じゃあラティと呼んでくれ、かな?」
「私はイリア・シルベストリ…私も呼び捨てで良いわ、シウス。」
「おう、宜しくな。」
狭い町という事もあり、シウスと共に移動する中、イリアさんが俺の肩を叩き、俺が振り向くとイリアさんは自分の後ろを指差していた。ラティはシウスとの話に夢中だから問題無いだろう…俺はイリアさんと共に二人から少し下がった。
「…で?どういう事かしら?」
「成り行きだったんですよ…つい、放っておけなくて…」
「分かってるわよね?私たちが目立つのは余り「いや、そうでも無いでしょう?」え?」
ま、そう思っても仕方無いけど、な…
「この時代の人と伝手があった方が色々とスムーズに進むと思いますよ?と言うか協力は必要不可欠でしょうね…」
何せ俺たちがこの時代で探さなければならないウイルスの保菌者と言うのは…
「魔界の王アスモデウス…素性は分かりませんが、肩書きから考えたら俺たちだけで接触するのは多分無理だと思いますよ?」
俺はこの時代の知識がある訳じゃないからな…魔界…今現在人間と友好関係にあるのか、それとも一食触発の危機にあるのか…どっちにしても、だ…
「積極的にこの時代の人と交流しましょう…別に素性を無理に言う必要は無いんですよ…どうせ信じても貰えませんしね…」
「…案外考えてたのね…」
俺は目を逸らした…いや、これは今考えただけで…シウスを助けたのは身体が思わず動いてしまっただけで…正直な話、助けた後どうするかなんてまるで考えて無かったし…