ホットの道具屋の店主が頼みたい仕事と言うのはこの町の先にあるメトークス山を更に越えた先にあるポートミスの武器屋からある物を受け取り、ここまで持ってきて欲しいとの事。
…で、報酬はそう多い訳じゃなかったがポートミスはそもそも通行証が無いと入れないとの事で金銭報酬にプラスしてそれも付けてくれるとか(そもそも持ってないと荷物受け取れ無い訳だが)
ちなみにいざ受けようとしたら店主は微妙な顔をした…そりゃ、四人いる内、武器を持ってるのは何故か二人だけ。…しかも四人の内一人は女性…結果的に仕事は受けれたから良かったが…正直イリアさんは仕方無いにしてもラティは早急に剣を手に入れる必要があるだろう…シウスが持っていた金属製のナックルのお陰で武術を得意とするイリアさんをギリギリ戦力として数えられる様になったから尚更な。
……と、いうわけで…通行証の用意に一晩かかると言う店主から頂いた宿代を使い早速宿に入ろうとするシウスに頼み込んでここまで来て貰った訳だ…
「おい…マジであのジジイん所から買う気なのかよ…?」
強引にここに連れて来られた事より、性能の怪しい武器を買おうとする俺たちを心配してるのが良く分かる辺り、やっぱりお人好しなんだろう…
「イリアさんはこれで良いにしても、ラティは剣が無いとこれから先ちょっとな…とは言え、仕方無いとは言え、鈍だと分かってる剣を店主の言い値で買いたくは無い。」
宿代を貰った時に気付いたのだが、意外にも俺たちの持ってる金と、この時代の金には見た目それ程差異は無かった…つまりそのまま使っても多分問題無い(筈…)
「…要するに俺に値切れってか?」
「そういう事…って言っても話すのは基本的に俺がやるから…どっちかと言えば、シウスはいてくれるだけで良いんだ。」
シウスみたいな見た目の奴がその場にいれば滅多な事も言えないだろう(既にシウスは店主と揉めてるから下手に会話させられない、と言う問題もあるけど…)
「…それは構わねぇけどよ…何でラティを宿に置いて来たんだ?あいつが使うんだろ?」
「あー…あいつ、こういう交渉事はどうもなぁ…」
「確かに素直な奴だったな…会話してて気持ち良い奴ではあるぜ?全然壁を感じねぇからな…けどよ?」
「ん?」
「そうやって…お前が毎回あいつ庇ってたら成長しねぇだろ?」
何時もやっているのが見透かされている…
「分かってんだけどなぁ…」
「…ま、俺には関係ねぇし良いけどよ。」
そう言って自分から話を打ち切るシウスに正直ホッとしながら俺は先程の露天商の所に辿り着いていた…この町には武器屋はそもそも無いらしく、この人の所から買うしかない。
「いらっしゃ…何だ、さっきの奴か…」
「さっきはこいつがすみません…あんな事言われて気分は良くないでしょうが、剣を見せて貰えますか?早急に必要で…」
「そうか…」
そこで言葉を打ち切ると黙って俺の方を見詰める…この男…どうも俺を値踏みしているらしい…
「ま、好きに見なよ。」
しばらくしてそう言うと俺から視線をズラす…どうもシウスを睨み付けているらしい…お眼鏡にかなったのかどうなのか…それを置くにしてもだ…シウスにムカつくのは分かるが、客である俺から目を離すのはどうなんだ…?そもそもこの爺さんは俺の背中にある剣の事を指摘しなかった…思ってた以上にアレな奴かも知れない…俺の深読みし過ぎなら良いけど…ま、万が一荒事になったらシウスに任せるのが一番良いか。