「今夜は満月か。風流だなぁ……」
明日は斎藤一から言われた期限だ。……緋村の勧誘に三日ねぇ……根回しは大事かもしんないが……
「どうせ趣旨変わって殺し合いしてんだろうなぁ…」
緋村が生きてると聞いて所在を確認しようと当たったが……まさか同じ東京にいるたぁな……
「俺も行けば良かったかな?」
あの二人の殺し合いに乱入したらそれはそれで楽しそうだ……まあ……
「今の俺じゃあ、直ぐ斬られるだろうがな……」
久々に命のやり取りをしたとはいえ、まさかああも動けないとは……
「多少鈍ってるが……身体には問題無い……後は俺の心構えの問題だ。」
ろくに人も殺してない俺じゃあ恐らく志々雄真実の足元にも及ばん。……まあ今の緋村も錆び付いてそうだが……
「あいつが不殺を選ぶなんてな……」
単に斬り合いから逃げた俺と違いギリギリ迄死地に身を置いて出した結論だ……俺とは根本から違う。
「…あの頃の俺に戻る必要がある。」
俺の目の前にはヤクザの事務所がある……物好きにも嘗て俺を拾った傘職人の爺さんのこさえた借金の貸主だ……元々本気で全額返す気は無かったが……
「…俺があの頃に戻るには丁度いい相手か。」
煙管の灰を捨て懐に仕舞う。そのまま奴から貰った短刀を出す。
「……行くか。」
「…歯応えが無いな。あんたはもう少し楽しませてくれるのかい?」
「夜七……!てめぇこんな事してただで済むと思ってんのか!?」
……自分の名は捨てたが七夜を名乗る気は無いからな、ただ入れ替えただけだがこの変名は割と気に入っている
「…金の話はうんざりだよ…二言目にゃてめぇら金の話ばっかだ。……俺ぁしばらく東京を離れる用事が出来たんだよ。……追ってこられちゃあ困るんでな、ここで全員狩ろうと思った迄よ。」
「…糞が!」
強面の兄ちゃんが向かって来る……こいつの名前は何て言ったけな、覚えてねぇや。
「…今更木刀で俺が殺れるかよ……」
「…!」
「未熟。……あんた人殺したことねぇだろ?」
まさか素手で止めれるたぁな……ここの連中はこんなんばっかりか……まあ数だけはいたから食いではあったし……それに……
「あんたらには感謝するよ。おかけで殺人鬼に戻れた……!」
「…畜生!離しやがれ!」
「おう!これでいいかい!?」
奴が木刀を引っ張るのに合わせて手を離す……奴は尻餅を着いた……丁度いい!
「…斬る!」
閃鞘・七夜……こんな雑魚にゃあ勿体無い技だが……
「俺からの礼だ!閻魔に宜しく言っといてくれ!」
俺は奴をすれ違いざまに斬り裂いた。