「……む…ここは何処だ…?」
「……目が覚めたでござるか?」
「……緋村…ここは何処だ?」
「……葵屋にござる。」
「……葵屋……あの小娘の塒か……」
「……お主はずっと眠っていたでござる。」
「……眠っていた…?俺が…?」
「……覚えてないでござるか?お主は「いや…待て。」……」
そうださっきのあれは夢じゃない。俺は新月村で志々雄を見た。そしてあの餓鬼と……そうだ!俺は……
『この名を覚えて行ってください。■■■■■……貴方を倒した者の名です。』
「瀬田宗次郎ォ!」
俺は部屋を飛び出した。
「七夜!?」
……あの時奴は俺に捉えられるギリギリの速さで俺を囲むようにして斬りかかって来た。……俺は迎撃しようとし、俺の間合いに入った瞬間に攻撃を……奴は身を捩り躱した。それ自体は想定内だ。問題はその後だ……奴は俺の目の前から消えた。……奴は本気じゃなかった。……あの瞬間俺は奴を捉えられなかった……!
姿を見失い焦る俺の背後から奴の声が聞こえ、驚き身体ごと奴に向き直った俺は奴に……!俺は着物の襟を開く……
「……糞が!」
俺の胸には斜めに走る痣が……!
「あの餓鬼!俺を見逃しやがった……!」
暗殺者のこの俺を必殺の間合いで殺さなかった……!
「……殺してやる!」
「……七夜!落ち着くでござる!」
「離せ緋村!これは俺に対する最大の侮辱だ!」
何という屈辱……!あの餓鬼の首を取らないとこの怒りは消えん……!
「……今のお主では再び敗北する!」
「うるせぇ!やってみなきゃ分からねぇだろ!?」
こいつ……!あの餓鬼より先に殺してやろうか!?
「……そもそもお主は奴の居場所を知らぬであろう?」
「……だから何だ!?このままじっとしてこの屈辱に耐えろと!?」
「……どうしても気が済まぬと言うなら……」
奴が逆刃刀に手を……
「……良いぞ抜刀斎……!予定は変わったがここであの時の決着を着けようか!?」
「……来い、七夜。」
一気に距離を詰め奴の腹目掛けて……!
「……七夜、この技は既に見せた筈でござる……」
抜刀術……斬撃を躱しても次に鞘が……そうだな、確かに見せられた……嗚呼……そうか……。
「……嘗めるな抜刀斎!この戦いを終わらせたいなら俺を殺せ!」
先と同じく顎を撃ち抜かれ同時に崩れ落ちそうになる身体を無理矢理もたせる……!間髪入れずに叩き込まれる鞘を弾く……ここまでは同じだな……だが!
「弔毘八仙、無情に服す!」
閃鞘・迷獄沙門……今度は決めさせてもらう!
「……馬鹿な…!」
奴は鞘であっさり俺の一撃を止めた。
「……お主はまだ体力が戻っておらぬ……布団に戻るでござる……」
「……チッ。……あ〜あ……情けねぇな……」
俺はそのまま地面に倒れ込み意識を手放した。