……くっ!どうなったんだ、俺は……
『…あっ!お前、何処行ってやがった!?』
『散歩だよ。何かあったか?』
『お前は自分の息子の相手を他人に押し付けてんじゃねぇよ!』
『すまんな、だが頼んだ覚えは無いぞ?……ああ、そうそうお前に客だ…』
『客だぁ?……お前…』
『師匠…』
『…帰んな。』
『師匠、俺は…!』
『そうつれなくしなくても良いだろ?』
『ふん。』
『…お前がこいつを見限るなら俺が引き取るが?』
『…はん。好きにしろ。』
『…!師匠!』
『お前も知ってるだろ?あいつはああなったらこっちの話は聞かねぇって。…来な、あいつが折れるまで俺が相手してやるよ』
『待ってくれ!結局貴方は一体……』
『ん?俺か?そこで転がってる馬鹿息子の父親だよ。』
『!七夜!?…では、貴方が…!』
『おう。七夜の里の元長の七夜黄理だ。宜しくな。』
「…はっ!」
「遅い目覚めだな、坊主……」
「あんた……さっき緋村が来てなかったか?」
「…お前、意識があったのか…?」
「朧気だけどな。」
「ますます見所がある。ウチの馬鹿弟子なら三日は気絶してそうだからな。」
「親父たちは何処だ…?」
「俺の馬鹿弟子を叩き直してる。…あいつは俺と違って手を抜かんからな…行くのか?」
「負けたままでいられるかよ…!」
「…好きにしろ。だが邪魔はするな。」
「…聞けないね。奇襲奇策を弄するのが俺たち暗殺者だ。」
「…そろそろやめようや?馬鹿息子といい、お前といい根本的な所が分かってねぇ。」
「まだでござる!」
「あのなぁ…早さ勝負で俺に勝てるわけねぇだろ。」
「…ガハッ!」
「早さで負けて当然。そもそも俺とお前では得物の重さが違う……まあ比古の奴は追随してくるんだがな…」
…あの蹴りは刀を頼みにしてる緋村には受けることすら難しいな……しかし何で現役の俺より早いんだか。
「っ!飛天御剣流「遅いな」ゴフッ!」
さて、いつまでも見てても仕方ない。緋村に集中してる今が奴を仕留める好機…!
「……」
俺は隠れていた茂みから音を立てずに飛び出す。
「……」
出来る限り殺気も抑える…!そして緋村に追撃を加えようとする親父の背後に向かい…!
「…馬鹿息子、それで殺気を抑えたつもりか?」
気取られた!?だがもう止まれん…!
「極彩と散れ!」
短刀を振り上げ…!
「存在を察知されたのに逸るとはな…既に暗殺者としての心構えすら失ったか…」
「…!」
失望の声と共にこちらを見ずに片手で短刀を持った俺の腕を掴まれた。
「ふん!」
「なっ!?」
そこから片手で投げられ…!
「…!七夜!?」
投げられた先には緋村!?糞!この体制では避けられ…!
「へぶっ!」
俺は緋村を押し潰しながら共に地面に落ちた。