「…フゥ…。」
「……七夜、いい加減吸うのを止めて欲しいでござるよ…」
刀狩の張とか言う奴に足を斬られて歩けない俺は、よりにもよって緋村に背負われていた。
「…プカァ…てな。」
「ゴホッ…だから止めろと…!」
「…フゥ…暇なんだから仕方無いだろ…これぐらい好きにさせろ。てかお前遅いぞ。もっと早く歩けねぇのか?…日が暮れちまうぜ…」
張は警察に引き渡した…お陰で余計に時間がかかっている…
「アンタねぇ!怪我したアンタを運んでくれてる緋村に感謝ってもんは無い訳!?」
「…うるさいぞ、小娘。」
「怪我してる今のアンタなんて怖くないわよ!つーかアンタの我儘の方がうるさいわよ!大体、あたしは巻町操だって何回も言ってんでしょうがぁ!」
相変わらず鬱陶しい小娘だ…
「…ゴホッ!七夜、わざわざ拙者に煙を吐きかけないで欲しいでござる!」
「…そりゃ…風向きの問題だろ。」
まあ、実際は緋村の頭に向かって直接煙を吐いてんだけどな。
「…根に持っているのでござるか、七夜。」
「…あー?どういう意味だ?」
「拙者があの男を殺すのを止めた事でござる。」
「…当たり前だろ。」
「足の傷の話ならお主もあの男の足に短刀を刺したのでござろう?」
「…俺はまだ満足してねぇんだよ…お前だって分かるだろ?」
「…分からないでござる…拙者は一度も人を殺すのを楽しいと思った事はござらん。」
「…そうでもねぇだろ。お前だって戦いを楽しんだ事はあるだろ?」
「…無いとは言わんでござる…だが、殺人に快楽を見い出していたお主とは永遠に相容れる事は無いでござる。」
「…なぁ、話は変わるが…何なんだ?お前のその口調?気になって仕方無いんだがよ…」
少なくとも幕末の頃、こいつはこんな口調はしていなかった。
「……お主に言われたくないでござる…お主も良く、特殊な言い回しをするでござろう?」
「…俺は元からだろ?…お前は昔はそんな口調はしていなかった…だから聞いてんだよ…」
「拙者の勝手でござる。」
「…そうかよ…兎に角もっと早く歩け…いや、走れ緋村!」
俺は緋村の頭を叩いた。
「痛っ!?いい加減にするでござる七夜!お主は我儘が過ぎる!」
「…何言ってる?お前の腰の逆刃刀…手に入ったのは俺のお陰だろ?」
あの二人が話していた新井赤空最後の一振りは俺が新井青空の息子を助けた礼に渡された…俺が欲しい物は別に無かったとはいえ…感謝して欲しいのはこっちの方なんだよ。
「だからと言って拙者はお主の奴隷でも何でもないでござる!」
「…フゥ…違う。お前は馬だ…走れ緋村!」
「痛っ!止めるでござる七夜!」
まあ…何せ俺の邪魔をしたんだ…しばらくは遊ばせて貰うさ。