「……それで、どうなったんですか…?」
「……どうとは?」
「……だから…!その後の事です……!」
私は横で酒を飲んでいる相棒を見る。肩をすくめ、溜息を吐き、顔を背け、私に手を向ける。……そのまま私から言えという事らしい……まあ奴から散々大騒ぎしておいてあのオチでは自分の口からは言いづらいか……
「……逸れた。」
「……は?」
「……ハリケーンは逸れた。つまり雨風は多少酷くなったもののそれ程被害は無かったという事だ。ましてや避難などする必要も無かったという事だな。」
私がそう告げると脱力したように力なく椅子に背を預ける桜。
「……安心しました。先輩たちに何かあったらと思って……」
「……ねぇ桜?あれから一ヶ月も過ぎててこの場にこの二人が揃ってるんだからそれは無いと思うわよ……」
「……私も既に終わった話として話していたしニュースも見てるとの事だったから何の気無しに話したんだが……まさかこうも過剰に反応されると思わなかったな……ああ。すまない。桜が心配してくれたのは分かっている……」
「……本当ですよ…あんまり危ない事はしないで下さいね……」
「……分かっているさ。私はここに帰って来る。ここが私の帰る場所だ。」
「……なぁ衛宮?旦那の前でナチュラルに人の嫁とイチャつくの止めてくんない?」
「あら?兄さん嫉妬ですか?」
「……桜、いい加減その呼び方止めてくれ……何か背筋が寒くなるし罪悪感がやばい……」
「……兄さん、この場にいる全員が全部知ってるんですから取り繕っても意味無いですよ?それにこうやって責任を取ってくれてるんですから私は満足です。」
「……桜…」
「……イチャついてるのはどっちかしらね……」
「……言ってやるな。紆余曲折あってくっ付いて未だに新婚気分なんだろう。……もう数年経つわけだが……」
「……経緯は聞いたが改めて考えると思いの外業の深い夫婦だよな。元は義理の兄妹だって言うんだからよ。」
「……私は何度も止めろって言ったんだけどねー…結局折れて戸籍を一度こっちに戻したわ。」
「……義理とは言え兄妹だと結婚は難しいからな。合法的な裏技か。」
「……俺はその辺詳しくないんだが元々別の家に養子に行って完全に戸籍から出た人間を本来の姉が後見人になるからってまた戸籍に戻すのは合法なのか…?」
「……凛、ちゃんと正式な手続きを踏んだんだろうな?」
「……さぁ?どうだったかしら?」
「……まあ本人たちが良ければ良いか。」
「……追求を諦めやがったな。」
「さて、何の事だか。」
「……つうか妹に先越された姉よ、お前は何時結婚するんだ?……おいおい怒る場面じゃねぇだろ?」
「……何よ…あんたには関係無いでしょ……」
「ククク。せっかくすぐそこに意中の相手がいるのによ…!酒瓶で殴ろうとするな、暴力女。」
「……凛、落ち着きたまえ。せっかく皆揃ったんだ。台無しにする事も無かろう?」
「だって、こいつが…!」
「……はん。俺の言いたい事は分かってんだろうが。」
「……何よ。人の事気にしてないで自分の事考えたら良いじゃないの……」
「考えとくわ。さて、そろそろお開きで良いか?」
「……むっ。もうこんな時間か。」
「……士郎家まで送ってってよ。」
「無論だ。承ろう。」
「……桜、忘れ物をするなよ。」
「寧ろ忘れるのは兄さんだと思いますけど……」
「……おいお前ら!後片付け位してけっての!」