「…何をしているのかね…?」
「…見ての通り菓子作りだよ。」
「…なかなか良く出来ているな、どれ一つ…」
「あっ!おい!?」
「…味も上々だ。店で出せば売れるぞ?」
「…この店にわざわざ菓子食いに来る物好きはいねぇだろ。…つか、俺はガキが嫌いだからメニューに乗っけたくねぇ。」
「…この味なら普通に大人も来る思うが…」
「スイーツ目的のうるせぇ女どもにはもっと来て欲しくないね。…てか、甘さ抑えてんのは当然だ。俺ぁ甘い物嫌いなんだよ。」
「…なら、何故いきなりこんな物を?」
「…親父が良く作ってたんだよ…。親父は俺と違って子供好きだったからな…最も強面でガキに顔見せると大体ギャン泣きされるから、基本厨房からは出て来なかったがな。」
「それはまた意外な一面だな…。君の話だと職人気質の頑固親父に聞こえたからな。」
「その認識に間違いはねぇ。…おかげで来るバイトも長続きしなかったよ。最も…今ここに来てるあいつなら辞めないんだろうけどな。」
「ちょっと賄いはまだなの…あら?これ、クッキー?」
「…あっ!遠坂テメェ!」
「…結構美味しいわね。これ、あんたが作ったわけ?」
「…悪いか?」
「何で喧嘩腰なのよ…。」
「…ちょうどいい。遠坂、君もこいつを説得してくれ。こいつはこれだけ菓子を作れるくせにメニューに乗せる気が無いそうだ。」
「…もったいないわね。子供にも大人にも大好評よ、これなら…」
「…気が向いたから作っただけだよ。面倒だからレギュラーでなんか作りたくねえっての。」
「…そもそもレパートリーがクッキーだけならどうしようもないな。」
「…ハッ。見くびんじゃねぇよ。焼き菓子なら大体作れるぜ、俺は。」
「やる気十分じゃないか。やはり店で出すべきだろう。」
「そんなに出したきゃお前が作りゃあ良いだろうが。」
「生憎と菓子は君ほど上手くなくてね。君が作るのが適任だろう。」
「大嘘こくなっての。」
「…ねぇ?いつまでこの話続ける気?そろそろ開店時間よ?賄いはまだなの?」
「…もう出来てる。そこにあるから勝手に食え。」
「あら?出来てたの?なら、最初から言いなさいよ。」
「お前が出来てないと勘違いしたんだろうが。ほれとっとと持ってけ。」
「…そこのクッキーも持ってっていいかしら」
「そいつは俺のだ。お前さっき食っただろうが。」
「良いじゃない。少し貰ってくわね。」
「ふむ。では、私も少し…。」
「お前ら!少しと言いつつ鷲掴みにして持ってくんじゃねぇ!このクソッタレどもが!」