ネタ帳   作:三和

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錬鉄の英雄のいる店26

「…何をしているのかね…?」

 

「…見ての通り菓子作りだよ。」

 

「…なかなか良く出来ているな、どれ一つ…」

 

「あっ!おい!?」

 

「…味も上々だ。店で出せば売れるぞ?」

 

「…この店にわざわざ菓子食いに来る物好きはいねぇだろ。…つか、俺はガキが嫌いだからメニューに乗っけたくねぇ。」

 

「…この味なら普通に大人も来る思うが…」

 

「スイーツ目的のうるせぇ女どもにはもっと来て欲しくないね。…てか、甘さ抑えてんのは当然だ。俺ぁ甘い物嫌いなんだよ。」

 

「…なら、何故いきなりこんな物を?」

 

「…親父が良く作ってたんだよ…。親父は俺と違って子供好きだったからな…最も強面でガキに顔見せると大体ギャン泣きされるから、基本厨房からは出て来なかったがな。」

 

「それはまた意外な一面だな…。君の話だと職人気質の頑固親父に聞こえたからな。」

 

「その認識に間違いはねぇ。…おかげで来るバイトも長続きしなかったよ。最も…今ここに来てるあいつなら辞めないんだろうけどな。」

 

「ちょっと賄いはまだなの…あら?これ、クッキー?」

 

「…あっ!遠坂テメェ!」

 

「…結構美味しいわね。これ、あんたが作ったわけ?」

 

「…悪いか?」

 

「何で喧嘩腰なのよ…。」

 

「…ちょうどいい。遠坂、君もこいつを説得してくれ。こいつはこれだけ菓子を作れるくせにメニューに乗せる気が無いそうだ。」

 

「…もったいないわね。子供にも大人にも大好評よ、これなら…」

 

「…気が向いたから作っただけだよ。面倒だからレギュラーでなんか作りたくねえっての。」

 

「…そもそもレパートリーがクッキーだけならどうしようもないな。」

 

「…ハッ。見くびんじゃねぇよ。焼き菓子なら大体作れるぜ、俺は。」

 

「やる気十分じゃないか。やはり店で出すべきだろう。」

 

「そんなに出したきゃお前が作りゃあ良いだろうが。」

 

「生憎と菓子は君ほど上手くなくてね。君が作るのが適任だろう。」

 

「大嘘こくなっての。」

 

「…ねぇ?いつまでこの話続ける気?そろそろ開店時間よ?賄いはまだなの?」

 

「…もう出来てる。そこにあるから勝手に食え。」

 

「あら?出来てたの?なら、最初から言いなさいよ。」

 

「お前が出来てないと勘違いしたんだろうが。ほれとっとと持ってけ。」

 

「…そこのクッキーも持ってっていいかしら」

 

「そいつは俺のだ。お前さっき食っただろうが。」

 

「良いじゃない。少し貰ってくわね。」

 

 

「ふむ。では、私も少し…。」

 

「お前ら!少しと言いつつ鷲掴みにして持ってくんじゃねぇ!このクソッタレどもが!」

 

 

 

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