「…すまんな、付き合ってもらって。」
「…別に良い。と言うか今回は寧ろ感謝してるぜ。名目上、ここでこうしてる限りはあいつと一緒に過ごす必要が無いからな。」
ここはホテルのレストランの厨房である。朝食を一口食べた瞬間に我慢出来なくなり奴と慎二を連れて突撃した。今はシェフ全員を怒らせてしまったため私たちだけで料理をしている…。にしても…
「…彼女の気持ちを受け容れる気は無いのか…?」
「…今の所俺にその気はねぇ。」
「…君の恋人と彼女は友人だったと聞いたが本当か…?」
「…ああ。見てる限りでは仲が良かったと記憶してるぜ。…つか、俺もさすがに恋人が死んでその友人に乗り換える程クズじゃねぇつもりだ…そもそも俺はあいつが嫌いだしな…。」
「…一体何があったのかね…?」
「…今回ばっかりは言いたくねぇ。どうしても気になるならあのイカレ女に聞きな…最も奴も話すとは思えないが。」
「そうか。」
そもそもそこまで興味も無いが。
「…お前ら良いから手を動かしてくれよ…。そろそろ料理を運ばないと客が暴動を起こすぞ…。」
「ん?すまない…今、ペースを上げる…」
「…全く。しっかりしてくれ…人巻き込んどいて…。」
「すまんな、埋め合わせはする。」
「…良いから早く作ってくれ。…これは出来てるのか…?」
「ん?それならもう出来てる。」
「…そうか、なら運「おう慎二!こいつも運べや」そんなに運べるか!ちょっと待ってろ!」
「…君も人使いが荒いな…。」
「夫婦水入らずでホテルに来てたのを引っ張って来たお前が言う事じゃねぇだろ…。大体人手が足りねぇんだ。立ってるものは親でも使う主義だぞ俺は。」
「…なら、何故凛たちには手伝わせないのかね…?」
「……お前、あの空気の中踏み込めるなら行って来いよ。」
私は彼女たちの座る席を見…
「…止めておこう。」
「…ヘタレめ。」
「……」
目に見える程怒りで黒いオーラを漂わせる女性陣に手伝わせる勇気は無い。…と言うか一般人にもヤバさが分かるのか…彼女たちの周りのテーブルに誰も座ってないんだが…。
「…そもそも、お前が自重しなかったからこうなってんだからな。」
「…返す言葉も無い。…だが、あの味は君も気になるだろう…?」
「…一流ホテルのレストラン=シェフの腕も一流って限った話じゃねぇ。割り切れ、そのくらい。…まあ立場に胡座かきすぎだとは思うけどよ…。」
「…一日に相手する人数が多い、どうせ客に違いは分からない…そういう理屈を持ち出す輩を私は看過出来ないのだよ。」
「…お前のそれは病気だよ。」
「…褒め言葉と思っておこう。」