「…で、昔の友人とはちゃんと話出来たわけ?」
「…ああ。」
そこで私ははたと思い当たる…
「…凛…もしかして…お前は気付いてたのか…?」
「何を?って聞くのはわざとらしいか…ええ。あんたが妙な事考えてたのはね。」
「……」
「本当に馬鹿ね…学生時代の面倒臭いあんたから何があっても離れなかったあいつがあんたを理解してないわけないでしょうが。」
「…そうか。」
俺は良い友人を持ったな…そして良きパートナーを得た…見てるか切嗣?…俺はこの通り幸せだよ…だからもう安心して眠ってくれて良い…
「…ただいま。」
凛と別れ、誰もいない衛宮家に帰って来る…やはりこの家は俺には広すぎるな「おかえり、シロウ。」…私は声の聞こえた居間へ走る…!有り得ない…!彼女を私は救えなかった!今になってこの声を聞くわけが無い…!
居間の襖は閉じられている…中からは確かに人の気配がある…!よりによって彼女を真似るとは、な…!何者か知らんが…貴様は私の逆鱗に触れた!…私は剣を投影すると…一度深呼吸して激情を抑え込む…怒りのまま踏み込むなど愚の骨頂…!解析したところ中にいるのは寸分違わず彼女だという結果しか出なかった…だがそんな事は有り得ない!
……何故なら彼女はあの時確かに死んだのだから!…よってこの中にいるのはそれなりに手練。怒りに飲まれれば勝てないかもしれん…!
「…ふぅ…良し…!」
私は襖に手をかけると一気に引き開けた…!
「…久しぶりシロウ。」
その少女を見て身構えていたのが全て霧散していく…違う!彼女の筈は無いんだ…!
「…その姿を真似るのは止めろ…!何者だ?…どういうつもりか知らんがこれ以上は…!」
剣を握る手に力が籠る…!
「…やっぱり信じて貰えないか…私は、本物だよ?本物の「黙れ!イリヤは死んだ!俺の前でな!」…そうだね。私は確かに死んだ。」
白々しい事を…!私は目の前の少女の姿をした…イリヤの姿を真似る不届き者を斬りたいのを必死で堪える…!私の知らない所で何かが起こってる可能性もある…!まだこいつを殺すべきでは無い…!
「…取り敢えずその剣を下ろしてよ。そんなんじゃ話も出来ないし。」
「……分かった。」
取り敢えずこいつの言う通りにするか…妙な真似をすればまた剣を投影して即座に首を落とせば良い…!
「…さて、これでどうかなレディ?」
私は剣を消すと両手を振って丸腰を一応アピールする…最もわざわざ彼女の姿をとってここに来る程俺の事を知っているなら…
「…良く考えたらシロウは何時でも剣を出せるんだったね…でもこれ以上はどうしようもないし「何なら自己強制証明でも使ったらどうかね?人の神経を逆撫でする外道の魔術師にはお似合いの手段だろう?」む~!シロウ酷い!ちょっとお姉ちゃんを疑い過ぎじゃない!?」
…当然私の得意魔術も知っている、と…にしても本当にこれは演技なのか…?何となく疑ってる私が馬鹿みたいに思えて来たんだが…
「……分かった。君を信じても良い…だが保険はかけさせてくれ…この場に凛を呼びたい…構わないか?」
「…リン、ね。良いわよ?私も久しぶりに会いたいし。」
「そうか、なら少し待っていろ。」
私は少女に注意を向けたまま携帯を取り出し凛の携帯にかける…ややあって凛の慌てた声が聞こえて来る…また何かやらかしたのか…それにしても未だに携帯の扱いが苦手とは…まあ機械の大半がまともに使えなかった事を思えばこれも進歩か…取り敢えず手短に用件だけを伝え私は電話を切った。