ネタ帳   作:三和

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錬鉄の英雄のいる店67

「一応、本来は損害賠償やら色々請求していた可能性もあった、ということは御理解頂きたいですわね…まあ…負傷したのはあの方とシェロと貴方自身だけで店自体は無傷でしたし、ウチの常連客はあの方の奇行には慣れてますし、貴方はあの方のお兄様であるとの事ですので今回は見逃しますわ…以後、気を付けて…あー…それと…いえ、この手のお話は貴方には…そうそう…釈迦に説法、という奴でしたわね。…そういう事ですので次は無い、という事で…ではこれで…今度は"普通に"お客様として訪れてくれる事を願っていますわ…リン、行きますわよ。」

 

「もう…勝手に話進めて…私もコイツに色々言いたかったのに…まあ良いわ…じゃあね、士郎…また来るから…」

 

「ああ…色々とすまなかったな…」

 

「…別に良いわよ、それじゃ…」

 

「…嵐の様な二人だったな…」

 

「第一声がそれだけなのか?反省は無いと判断するしかないが?」

 

「…申し訳無かった。」

 

今日は凛とルヴィアが私のお見舞いにかこつけて奴の兄に説教をしに訪れた…と言っても喋っていたのは、ほとんどルヴィアだけだが…凛の場合、いきなり彼に噛みつきかねないからな…そういう意味では…正論を並べて理性的に話の出来るルヴィアが話すのが適当では有るだろう…最も自分の言いたい事を一方的に話すだけで彼に一言も反論をさせないというのはどうかと思うが…

 

……それだけ腹に据えかねた、という事だろう…まあ奴と一緒にいられる時間が必然的に減った事と自分で殺ってしまったならまだ納得出来るが、私にも原因の一端があるとはいえ、今のルヴィアには他人でしかない彼に奴が殺されかけた八つ当たりもかなり含まれていたのだろうが。

 

「……もしかして…先程の女性が…」

 

「そう…奴を愛してしまった女性だ。…良かったな、あの程度で済んで…彼女は本気で怒るとある意味私や凛より恐ろしいぞ。」

 

「奴は良い人に巡り会えたんだな…」

 

「言っておくが…ルヴィアは私が昨日話した…奴が当初結婚を考えていた女性の友人でもあるからな…もし、貴方が奴に彼女の事を思い出させた事が今回の騒動の発端だとルヴィアが知ってしまったら…こんなものでは済まないかもしれんぞ…」

 

「……」

 

「彼女は魔術師だ、今回、貴方はギリギリ退ける事が出来たが…条件次第では魔術に関して素人である貴方は為す術も無く殺されてしまうだろう…」

 

「そんなに脅かさないでくれ…本当に反省したから…」

 

「……その言葉が真である事を願うよ。 」

 

…彼だけが槍玉に上がるこの状況は考えようによっては哀れだが…自業自得、という奴だろう。


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