城内に入ってみれば、てっきり廃墟の様になっていると思っていたのだが…中は意外と綺麗だった。
「…ここまでの規模の城が…たった一人の魔力で形成されているなんて…」
改めてドラキュラの力が企画外である事を思い知らされる…
「今度は何!?」
考え事をしながら歩いていたのがいけなかったのか…私の目の前まで白い物体が飛んで来ているのが見えて慌てて杖で叩き落とした。
「…さっきのゾンビよりは見ててショックも少ないかしら…」
地面に落ちた物は何処の部分かは知らないが、崩壊の無い完全な形をした骨で、投げて来ているのは骨だけの怪物…
「骨格標本がそのまま動いている様にしか見えないわね…」
数こそ多かったが伸びた杖の先端を身体のどの部分でも良いから当て続けてていれば破壊出来、恐らく頭部を破壊しなければ動き続けるだろう外のゾンビより寧ろ楽かも知れない。
「この骨は当たり所が悪かったら死ぬでしょうけど…」
大して遠くまで飛ばず、スピードも無い骨は避ける事も、叩き落とす事も容易く…防ぐのは全く問題無かった。
「…扉ね。」
しばらく歩くと木製の大きな扉が見えて来た。
「今の所他に扉も無ければ特に通路も無かった…ここしか行けないわ。」
扉に手を当てて軽く力を込めてみれば、多少抵抗は感じたものの、特に鍵はかかっていない様だ。
「……」
もう一度力を入れて扉を押す…独特の軋んだ音を立てながら扉は開いて行った…
通路内は薄暗く、多少狭く感じたが…別に敵はいない様…脅威の無い以上、今更歩みを止める理由は無いのでそのまま進んで行く。
「また扉…ここは連絡通路か何かなのかしら…」
この城は基本的にはドラキュラが人であった頃に住んでいた城を模しているらしいが…ドラキュラと共に復活する毎に構造が大幅に変わる事も多いらしく…一応ベルモンドの本家に行った時、嘗てドラキュラに挑んだ歴代のハンターたちが残したと言う地図を借りて来たものの…この分ではやはり役には立ちそうも無い。
「…ふぅ。参ったわね…」
懸念事項はもう一つある…ベルモンド家のハンターたちは基本的にヴァンパイアキラー…ドラキュラに特攻能力を発揮する鞭を使って戦ったとか…
「先祖代々受け継がれている筈のヴァンパイアキラー…まさか所在が分からないなんて…」
ベルモンド本家にヴァンパイアキラーは無かった…何処に行ったのか…ハンターたちの記録も時と共に失われた物が多いとかでそこから最後の所有者を探る事も不可能…ベルモンド家の関係者だと言うモリス家の者が持っている可能性もあるものの…現在はそちらも何処にいるのか分からないと…
「無い物ねだりをしても仕方無いわ…先に進みましょう。」
休憩を終えた私は背中を預けていた壁から身体を離し、一度深呼吸をしてから、目の前の扉に手を着いた…