「恐らく聞いてるんだろうが…アイツは一人だけ学校での成績が悪くてな…最も素行のせいもあったし、アイツ自身は覚えは悪くなかった様だが、多分、机に向かって黙々と勉強するのが合わなかったんだろう…私も下の弟も気にはしていたが幸い、料理に関してだけは秀でていた…私は料理は壊滅的だったし、下の弟は出来るもののアイツには及ばなくてな…」
彼はそこで言葉を切ると置いてあったペットボトルの水を少し飲む…
「だからアイツが店を継ぐのが妥当だと思っていた…店に迷惑をかけた事もあるが…中学を卒業する頃には比較的まともになってな、アイツは乗り気だったみたいだし何も問題は無いと思っていた…まさか店が無くなる事が決定していて、アイツがその事で親父と喧嘩して家出して、そのまま行方を晦ますなど…思ってもいなかった。」
「…奴からは最初親戚の所を転々としていたと聞くが…」
「私もそこまでは調べがついていた…ヤケになって何かされても堪らないからな…最終的に迎えに行った時には…奴が飛行機に乗った事が分かったのはだいぶ後になってからだ…」
「貴方はその後の奴の事を?」
「…調べられたのはこの仕事に就いてからだがな…最もアイツ自身は単独で動く事も多い様で…戦場という場所柄もあってか、記録はろくに出て来なかった…だがアイツがテロリスト扱いだった事までは調べがついている。」
「……」
「まっ、見逃すさ…この国では捕まえようが無いし、というかめんどくさい…アイツを犯罪者として捕まえたら私にも影響があるからな…詳しくはアイツから聞くさ…アイツを好いてる女性の事を中心にじっくりと…」
「…何となく奴が怒った理由が分かった気がするよ…」
「どういう事だ?」
「聞いたのか?奴の女性関係について?」
「話の流れで少しな…」
生き別れの弟に女性関係を聞くのはどんな話の流れだったのだろうか…
「本当は私から言う事では無いんだろうが…奴には元々結婚を考えていた女性がいた…ある時彼女は誘拐されてしまった。」
「攫ったのは魔術師で、私と奴が救出に行ったが、結局彼女は先に訪れた駐留軍人に暴行され死亡。」
「…成程…それならアイツが私に怒っても仕方無いな…待てよ?なら、アイツがテロリストになった理由は…」
「……後は、奴から直接聞いてくれ。私の口からはこれ以上語れん。」
「…良く話してくれた…ありがとう…今日までアイツを助けてくれて…」
「詳しくは言わないが奴には私も助けられたからな…奴が今の生活を見限らない限りこれからも奴と共にいるさ…」