「ところで…何故彼女は主立っての制裁の話をしていたのに、私が彼女貴方を殺す可能性について話したかだが…」
「…ん?」
「そもそも彼女には貴方を法律に基づいて裁く事が出来ないのだよ、その権利自体が無い。」
「それは…どういう?」
「そうだな…先ずは彼女はウチの店と言ったが、あくまであの店は私と奴の共同経営で、ただの従業員でしかない彼女には例え今回の騒動で建物にダメージがあったとしても、それで貴方に金銭を要求する事は出来ない…怪我については論外だな…怪我をしたのは私と奴と貴方だけでルヴィアには結局傷一つついていない。そして私と…恐らく奴もだが貴方を訴えるつもりは無い。…つまり今回の一件で賠償金の支払い要求が貴方に行く事は無い。」
「そうか…いや、しかし彼女話をアイツと婚姻関係では無くても婚約はしているのだろう?」
「奴自身は一応前向きに検討しているが今の所その気配は無い。…奴自身は現在ルヴィアを嫌っていない様だが、奴が踏み切れない理由としては…私が考えうる理由としては二つある…一つは彼女が傭兵時代の商売敵で当時は犬猿の仲だった事、もう一つは奴が婚約者の死を恐らくまだ引きずっている事が原因だ…話が逸れたが要は彼女は個人的にも貴方に怒っているが現状主立って制裁を加える事は出来ない…だから貴方を殺す可能性がある、という事だ。」
「成程…そうなのか。…納得したよ。」
……?…何を言っているんだ?
「私の話を聞いてなかったのか?「いや、聞いていたよ」では、納得した、というのは…」
「いや、彼女の言葉の通りならアイツや君にに怪我を負わせた事を怒っていると思うのが普通だが…どうも彼女はアイツと戦った事を怒っているような気がしてね…」
「分からん…貴方は何を言いたいんだ…?」
「気付いてて言っていたのでは無いのか?…彼女はこのままアイツが手に入らないのなら殺す事も視野に入れていたのでは無いかと思ったんだ…自分の手で殺すのは言い換えれば独占欲だからな…だからアイツを殺そうとしていた私に怒ったんじゃないかと…もっと言うならアイツと彼女が犬猿の仲だったなら戦場という場所である事も手伝って何度か戦った事もあるんじゃないか?…その延長戦上で好意を持ったのならそれを愛だと思っている可能性もあるのかと…」
「先程のルヴィアの態度と私の今の話だけでそこまで予想したか…確かにその可能性も私はあると思っている…」
「まぁ何にせよ、良かったよ。」
どうも先程から彼に違和感を感じる…そしてこれは……既視感?……背筋に冷たい物を感じたが、私は疑問をぶつけてみる事にした。
「貴方は…死が怖くないのか…?」
……遠回しに聞くつもりだったのについ、直球で聞いてしまった…そして私は彼の答えを聞いて後悔することになる…
「私にとっては死よりも、免職や経済的制裁の方が何倍も恐ろしいのだよ。」
やはり気の所為では…無かったのだな…
「理解出来ん…死んでしまったらそんなものに何の意味があると言うんだ。」
「良く言うだろう?…地獄の沙汰も金次第、と。」