私はブラゴに師事した事で、人を超える相手…魔物とも確かに戦える力を得たと思っていた…そうでなくとも、元々私はそういう訓練を受けていた…
「…貴様は本当にベルモンドの者なのか?鞭は持っていない、他に何か手があるのかと思えば使えるのはその杖とろくに当たりもしない豆鉄砲のみ…歴代でもここまで弱いのは初めてだ…」
そんな私は今、圧されていた…目の前にいる化け物に私の力はまるで通用しなかった…どれだけ嘲られようとももうすぐには反論する気力さえも湧かない。
「…だから、何…?そんな事…貴方なんかに言われなくても…知ってる…私は弱い…」
弱いから…私は一度親友を失った…ブラゴやガッシュに清麿、他にも…仲間がいなければ…私一人では何も出来無かった…私一人で成し遂げた事なんて…ほとんど無いに等しい…でも…!
「…人間は…強いのよ…貴方が思うより…ずっと…!」
私は潰れない…この心だけは屈してはならない…例え一人だったとしても…
「…知っている。現に私も、我が主もベルモンドの者以外の人間に敗れた事がある。…だがお前はどうだ?地にみっともなく這いつくばって…そこから何が出来ると言うのだ?」
そう、私は奴の隙を作るどころか…満身創痍でこうして横たわっている…足を斬られ、脇腹も深く…足は斬り離されてこそいないけど…多分骨にまで行っている筈…脇腹は…出血が酷い…早急に治療を受けなければ私は確実に命を落とす…と言うか、もうさっきから意識が朦朧として…痛みも余り感じない…
「こんなの大した傷じゃない…」
喋る事が体力を消耗し、死までの時間が早まるのは分かってる…でも、自他共に認める捻くれ者の私の口は閉じない。
「ほう?ならば立ち上がってみせるが良い…どうせ出来無いのであろう?」
杖を持っていない方…少し前まで銃を握っていた右手を一度握ってから開く…次に深呼吸…良し。私は右手を床に着け、力を込める…立ち上がる…そして奴を黙らせる…好きに笑えば良い…でもこれが私…清麿たちが知ったら本気で怒るだろう…一人で何をしてるのか、と。
……無茶は承知の上。でも、この戦いに皆を巻き込むつもりは無かった。せめて、清麿にだけは知らせていれば何かは変わったのかも知れない…彼は単独では戦えないが、あの頭脳…それはきっと私の助けになっていただろう…でも、だからこそ巻き込みたくなかった…仲間だから…彼らの内、誰一人こんな目にあわせたくなかった…
これは私の我儘…でも、だから何だと言うの…?
「…これは驚いた。」
身体を起こし、膝立ちの状態まで持って行く…気を抜いたらそのまま意識を失ってしまう…だから…一気に立ち上がる…!
「意地は張り通してこそ…!デス…貴方だけは私が地獄に連れて行く…!」
私は何度だって立ち上がる…例え、敵がどれ程強大でも…だって…その諦めない心…それが最初にブラゴに認めて貰った私の強さだから。