「……おはようございます、先輩。」
「……おはよう……マシュ……」
……最近はこうやってマシュに起こされることが多い。マシュはマシュでカルデアのスタッフとしての仕事を任されているから他のスタッフやサーヴァントの誰かが起こしに来てくれることもあるけど……重要なのはこうやって誰かに起こされるという事だ
……つい数日前の検査でとうとう下半身全体が硬直した私はそれ以上に体調にまで変化が表れた
元々は夜更かしをしすぎなければ自力で目を覚まし身を起こす位はやっていた私が今では自分で目を覚ますどころか腕の筋肉こそ硬直していないものの力が入らず自力で起き上がることは困難になった
マシュに着替えをさせてもらい抱き抱えられ車椅子に乗せられる
……最近来たばかりのサーヴァントにこんな姿は見せられないから何とかマシュや古参のサーヴァントに世話をして貰って事なきを得ているけど……
「……先輩、大丈夫ですか?」
「……うん。大丈夫…だよ、マシュ……」
私は今どんな顔をしているのだろう…?
最近寝起きは勿論のこと、時々特異点修復に赴いたときでも意識が飛ぶ事が多い。
普段は何とか気を張っているけど……気を抜くと数分経っていたこともしばしばある。
「……今日の予定は覚えてますか…?」
マシュの問いかける声…私は答える……
「……何だっけ…?ごめんね、マシュ……忘れちゃったみたい……」
「……いえ。大丈夫ですよ。今日の予定はミーティングだけです。」
マシュは力なく笑う。そんな顔しないで……私は貴女にそんな顔をさせたいわけじゃない……
「……マシュ、他にも…予定、あるんじゃない…?忘れててごめんね?教えてくれる?」
「……今日は午後から私とナーサリーさん達と一緒に絵本を読む事になってます……」
「……そっか……ありがとう、マシュ。じゃあ、早くミーティング終わらせないとね……今何時だっけ……?」
頭がついてこないのか、最近私は時計を上手く認識できなくなった。口頭で伝えてもらわないと時間が分からない。今が早朝でないのは分かるけど……
「……午前十時過ぎですね……先輩、ミーティング前に食事をしますか…?」
「……ごめん……食欲無いみたい……マシュはもう食べた……?」
「……ええ。私はもういただきました。……先輩、少しでも良いから何か口に入れてください。点滴と薬だけだと限界がありますから……」
「……そうだね……分かった。じゃあ、食堂に寄って、くれる……?」
そう言うとマシュは少し顔を綻ばせてくれた。良かった。貴女にはずっとそうやって笑ってて欲しいから……