ネタ帳   作:三和

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人類最後のマスターが車椅子だったら6

ただ、嬉しかった……こんな私でも誰かを笑顔に出来ることが分かったから……だから……

 

……そんな夢を見た

……サーヴァントは夢を見ない……つまり、これは……

 

 

 

……明日の仕込みをする……何度か手が止まるが首を横に振り作業を再開する……見知った気配だ……

 

「……何か用かね?夕食はもう終わったが?少なくとも君は食べていたはずだろう?」

 

食堂の方に振り返れば青髪の野性味溢れる男が見慣れた独特の笑顔を浮かべていた

 

「……小腹が空いちまってよ。何かねぇか?」

 

そんな彼に溜息をつきながら……

 

「……冷蔵庫の二段目に残り物が入っている。温めて食べたまえ。一段目と三段目には手を出さないように。」

 

「……おう。すまねぇな。」

 

「……食べ終わったら皿を水に漬けて置いてくれ。」

 

……返事が無かったがさすがに問題は無いだろう。

しばらく私が仕込みをする音と食器が奏でる音が響く

 

……やけに静かだな。いつもなら彼はなにかしらちょっかいを入れてくるはずだが……

 

「……ごっそさん。美味かったわ。」

 

「……食べ終わったなら食器を置いてさっさと行くといい。見ての通り私は忙しい」

 

ランサーが食器を水に漬けるのを横目で見つつ作業を再開……ハア…。

 

「……まだ何か用があるのかね?」

 

私は恐らく食堂の席に座ったままこちらを見つめている男に声をかける

 

「……聞かねぇのか?」

 

「……何をだね?」

 

「……嬢ちゃんの事だよ。」

 

私は思わず振り向いていた。そこには卓上に頬杖を付きつつも先程までのニヤけ面が消えた男がいた。

 

……ああ……そんな顔も出来るのだな……

妙な事に感心しつつ私は顔を前に戻す。

 

「……私がマスターの事で何を聞きたいというのかね?」

 

「……いい加減質問に質問で返すんじゃねぇよ。俺が何を言いたいかは分かんだろ?」

 

……声が低い。少し怒っているようだ。

 

「……何の事か私には分からないな。」

 

「……ああそうかい。なら俺は戻るわ。」

 

奴が席を立つのが分かる。私は……

 

「……待ってくれ。」

 

「……その、マスターの様子は、どうなんだ…?」

 

足音が戻って来る。やがてドカリと音を立てて奴が椅子に座ったのが分かった。トントンと卓を叩く音がする

 

「…?何かね?」

 

「……座れよ。」

 

「……見ての通り私は明日の仕込みが……」

 

「……俺が食ってる間もほとんど手ぇ動いてなかったぜ?良いからとっとと座れ。」

 

……仕方なく私は作業を中断し奴の対面の席に着いた。

 

「……待ってろ。」

 

そうして奴は席を立つ。……座れ、と言った癖にそのまま自分は席を立つとはどういうつもりなのか……と、そう思っていると、やがて厨房からグラス二つと、瓶を一本それぞれ片手に持ち戻って来た。そのままテーブル上に二つを置き瓶の栓を指で飛ばすとグラスに中味を注ぐ。

 

「……何の真似かね?」

 

「……見りゃわかんだろ。呑むんだよ……ンな顔すんじゃねぇよ。素面で語れるような話じゃねぇんだわ、これが。」

 

そうしてグラスを無言で掲げる奴に閉口しつつ私ももう一つのグラスを持つ。そのまま無言でグラスを合わせた

そのまま一気に奴がグラスを開けるのを見て私もグラスを干す。

 

「……さて、何から聞きたい…?」

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