「…ここ、何処…?」
気が付いたら私は見覚えの無い場所にいた…
「……」
森の中を車椅子で進む…改めて考えてみる…本当にここ何処なんだろう…?私、確かカルデアの中にいたんだよね…う~ん…それは間違い無いと思うんだけど…何か直前の記憶が曖昧…何となく手を止めて、上を見上げる…
「青空…」
そこには最近久しく見てなかった青空が見えた…久しく…?カルデアの外には出れなくなってはいたけど青空ぐらいはレイシフト先でも……あ…
「輪っかが無い…」
そこにはレイシフト先の空に浮かぶ円環が無かった…あるのはあまり強くない陽射しを送ってくれる太陽と白い雲だけ。
「……」
違和感はまだある…私は今度は下を見た。
「車椅子が前のまま…」
レイシフト先にも持って行けるようになったこの車椅子はダヴィンチちゃんを筆頭にサーヴァントの人たちの手によって魔改造されまくっている…正直私でも扱いに困るどころか、把握しきれてない上、必要なのか怪しい機能も色々…まぁ電動化してくれたのは素直に有難かったけどね…でも、今私の座ってる車椅子はカルデアに初めてやって来た頃に戻ってる…
「良かった…道が整備されてて…」
最初目が覚めて、目の前の森を見た時…進もうと思ったのは最早癖に近い…立ち止まってても何も始まらないから…まぁ私は立つことは出来ないんだけど…
でも入る時に気付いた…私の足である車椅子が昔の普通の車椅子に戻ってる事に…ホント、道が整備されてなかったら大変な事になってたよ…
森を抜けてしばらく車椅子を進めて行くと、建物が見えて来た…何だろう…取り敢えず行ってみよう…ここが何処なのか聞かなきゃ。ここから出るにしてもまずそれから…何でコフィンに入った覚えの無い私がレイシフトしたのか分からないけどね…
車椅子を進めて行く…
「おや?早かったでちね…もう少しかかると思っていたのでちが…って…お客ちゃま車椅子でちか?ムム…これはいけまちぇんね…」
箒を持った女の子が駆け寄りながらそう声をかけて来た。
「えと…何か私が来るのが分かっていたような言い方だ…なんですけど…」
舌っ足らずの口調と幼い感じの声から子どもに接する様に言葉を発した私は彼女の姿が見えた所で、何故か私は敬語に切り替えていた。
「はい。お待ちしておりまちた。閻魔亭にようこちょ。アチキは女将のお紅でち…ささっ、案内するでち。」
そう言って私の後ろに付くと、断る間も無く車椅子を前に押し始める…強引だなぁ…サーヴァントの人たちで慣れたのもあって私は彼女に促されるがまま旅館、閻魔亭に連れて行かれたのだった…