「ほら、起きて…」
「…んん…ふわぁ…おはよう、紅…あれ?」
「ごめん、俺なんだ…」
目を覚ました私の前には彼がいた。
「トラブル?」
「うん。何か昨日泊まったお客さんが暴れたとかで…紅ちゃんも武蔵ちゃんも、後エドモンも向こう行っちゃってさ、俺が君を起こして来てくれって言われて…」
「ふ~ん…」
彼の話を聞きつつ…未だはっきりしない頭の後ろをボリボリと掻く…
「そっか…それじゃあ悪いけど着替えるの手伝ってくれる?」
「え!?着替えって…」
「いや、だから着替えだってば。この就寝用の寝巻きじゃお客さんの前に出れないし。」
「いや、でも…」
「取り敢えず何処でも良いから着物置いて。その上に私を寝かせてくれる?」
そう言っても彼は狼狽えるばかりで動こうとしない…いやいや…勘弁してよ…
「無理な事頼んでる自覚はあるよ?でもそうしてくれないと、私、布団からも出られないから。」
「……君は気にならないの?」
「う~ん…別に気にならないかな?」
「何で?俺が「別に君が並行世界の自分だからなんて理由じゃないよ」じゃあ…」
「想像してみて…例えば君が私と同じ身の上で、マシュが身の回りの世話してくれるのを恥ずかしいだとか何だとか言って断ったりする?」
「……いや…そんな事言ってる場合じゃないし…」
「そういう事だよ。今の私はマスターじゃなくて…所詮、受付しか出来無い旅館従業員だけど、女将の紅ちゃんが忙しい以上…私の仕事も一応重要だからさ…」
「……」
「ほら早く着替え着替え…」
「分かった…変な所間違って触ったりしたらごめんね?」
……誰かを抱き上げる場合に触れる場所なんて限られると思うけど…本人も気付いて無いみたいだし、結構天然だったり?
「お好きにどうぞ?こんな身体に興味が湧くならだけど。」
「ッ…これ…!」
布団を退けて、既に着物の前を開けている私の身体を見て、彼がそのまま固まった。
「……そんなに気になる?君だって身体に傷はあるでしょ?」
「いや…俺は男だし…それに…」
「サーヴァントが戦ってくれていても、マスターである以上前線にはいる…そこに男か、女か…何て、関係無いよね?」
「……俺だってこんなに酷くな「ああ、それなら…私の場合、魔術を使うと身体にダメージが行くのは知ってるでしょ?」……まさか…!」
「そう。この傷の大半は自分で着けた物だよ。」
「何で…そこまで「君も同じじゃないの?」……え?」
「私や、君しか出来る人がいなかった…身体が呪いに犯されて様が関係無い…"自分"が…誰でも無い、私や君が動かないと滅んだ世界を元に戻せないから。」
「……俺は君の様に身体が不自由だったり、身体が呪いに犯されてるなんて状態で…マスターなんて出来無い…!」
「そう…取り敢えずそれは良いや…早く着替え手伝って?」
私がそう言うと漸くノロノロと彼が動き始めた…いや急いで!?あんまり時間かかると業務に支障出るから!?