「立香ちゃん…"彼"とケンカでもしたの…?」
「……変なニュアンス込めるのやめて貰えませんか?」
彼に朝起こされ、着替えを手伝って貰って数日後…武蔵さんが私の所にやって来た…最近は見かけないと思ったら…
「というか…また仕事中に「いや…だって…最近は彼と仲良さげだったし」話聞いて貰えませんかね…?」
噛み合ってるようで明らかに噛み合って無い…別にそういう仲じゃないって。少なくとも最近は気を使ってたから会いに来なかった、みたいな言い分は通すつもりは無い……というか、彼の場合、ちゃんと業務終了後に会いに来てるし。
「だって!閻魔ちゃん隙間無く仕事入れるから仕方無いじゃない!」
「いや…武蔵さん、サーヴァントだし…本気でやればさっさと終わるでしょう…?」
そもそも人間である彼にまで基本業務がちゃんと時間一杯回って来てる時点で明らかにサーヴァント(厳密に言えば巌窟王さんの方は単なる霊体で違うみたいだけど)二人の内どちらかがサボって無いとそんな事は無い……え?私?私はこれしか出来無いし…ちなみに巌窟王さんは彼と交代できっちり仕事はしているみたい…何で知ってるかって?
「武蔵さん…本当にいい加減にしましょう?マジで追い出されますよ?紅ちゃん、武蔵さんがサボってるの知ってますから…そろそろ私が庇うのも限界です…」
武蔵さんにはそれなりにお世話にはなってるし、こうやって仕事中(お客さん来ないと暇だけどそういう問題じゃない)絡みに来る以外は特に迷惑はかけられてないし、多少フォローするくらいなら良い…でも私がいくら庇っても武蔵さんがこうしてサボってたら何の意味も無い…
「う…だって気になったから「別に彼と正式に付き合ってるとかじゃ無いんで」でも仲が「はっきり言ってしまうと同じ立場だから多少話が合うってだけです…友人ですね」…それは分かったけど…じゃあ最近は何で…」
「彼が私を起こしに来てくれた日があったでしょう?その時着替えを手伝って貰「まさか…何かされたの!?」……何でそうなるんですか…」
「え…違うの「武蔵さん、同性の貴女が引いた身体ですよ?それに女性のサーヴァントも数多く存在するのにそこら辺だらしない人が複数のサーヴァントのマスターなんて出来る筈無いでしょう?」う…確かに…」
実際、彼のカルデアにはかなりの女性サーヴァントがいたらしい…明らかにそういう好意を向けて来ている人が何人もいたとか…本来は自惚れにしか聞こえないのに、あれだけ疲れた顔で言われるとね…後、彼と話してる時に時折感じる妙に粘ついた感じの視線……アレは彼に好意を抱いてるサーヴァントの人の物じゃないだろうか…?
……私でも分かるレベルであれだけ、嫉妬と憎悪の篭った視線を並行世界のここまで送って来れるなら迎えに来れたりしない物なのかな…?…まあ彼には敢えて伝えてないけど…どう考えても地雷だし。
「…何か思い当たる節とかって無い「何でそんなに気にするんですか?」いや、だって…」
私としては今の所仕事に支障が出てない以上、特に気にしないつもりである…彼が私を嫌っていたとしても私にどうにか出来るとも思えない。そもそも、同じマスターであってもまず性別が異なる時点で価値観とかも全然違うだろうし…
「う~ん…アレじゃないですか?彼に言われたんですよ、俺は君の様に身体が不自由だったり、身体が呪いに犯されてるなんて状態でマスターなんて出来無いとかって。…多分、酷い事を言ったと気にしてるんじゃないですかね?実際、私はその状態でマスターやってた訳ですし。」
ちなみに私ははっきり言って全く気にしてない…いや、小さい時から身体の事で色々言われてたから…正直彼より酷い事なんて散々言われたしね…
「仲直りしたいとか「そう言われても…彼の方から避けてるなら、私から下手に会いに行くのもアレですし…」
というか、私からしたら別に無理に仲良くする必要があるのか、という風に思う…彼は自分のカルデアに何時かは帰るんだろうから……私と違って。
「でも、今のままでも良いとは思ってないんでしょう?」
「んー…まあ、そりゃ…」
まあ別に敵対する理由も無ければ、私が彼を極端に嫌ってるとかでも無い…仲良くするに越したことは無いと思う……またあの視線に晒される事になるんだろうけどね。
「そっか、なら私が彼を呼んで「いや、今仕事中ですからね?」でも立香ちゃんだって気にしてるでしょ?」
「いや、全然「ええ!?」…そんなに驚きます?」
さっきも思ったけど、別に向こうが嫌なら無理に仲良くしたいとも思わないんだよね~…
「別に呼んでくれるならそれはそれで構わないですけど…でも仕事終わってからにしてくださいね?後、武蔵さんはいい加減仕事に戻ってくださいね「私は落ち込んでるだろう立香ちゃんを励ましに」別に凹んでませんし、私。」
まあそれは良いけど…そろそろ言わないとね…アッチは限界みたいだし…
「…というか、さっきから後ろに紅ちゃん立ってるんですけど…」
「え…「随分長くおちゃべりちてたみたいでちが、ち事はもう終わったでちか?」閻魔ちゃん何時からそこに!?」
武蔵さんはそのまま紅ちゃんに後ろ襟を掴まれて、廊下の奥まで引き摺られて行った…ふぅ…あっ!
「いらっしゃいませ!閻魔亭にようこそ!」
気を抜いてたせいで、少し声が裏返ってしまった…あっぶな~…常連客の中でも比較的まともな人(?)だったから助かった…接客態度がどうとか、長々と説教始めるお客さんもいるからね…まあ盛大に爆笑されたけど…