「え…?エミヤさん、紅ちゃんの料理教室受講するんですか?」
業務終了後…本当はいけないんだろうけど私はエミヤさんの泊まった部屋を訪れていた。
「うむ…何だ?どうしたんだマスター?」
「……」
聞いた話とは言え、私は知っている……紅ちゃんの料理教室はとてつもなく過酷である、と。
話は"彼"がここで働き始めた頃に遡る…
『えっ?紅ちゃん、料理教室やってるの?』
『あれ?知らなかった?…と言っても俺もさっき知ったばかりなんだけどさ、俺料理割と好きだし…ここの料理は実質紅ちゃんが一人で作ってるみたいだからさ…お客さんに出すんだし、ちょっとやったくらいじゃ戦力にはならないだろうけど、受けておけば今後手伝いくらいは出来るかなって思ってさ。』
『……だから君もやってみようって?』
『うん。基本、お客さん向けの教室みたいだけど、聞いてみたら参加するの自体は構わないって言われたからさ。』
『…紅ちゃん、それなら言ってくれたら私も受けたのに…』
大して動く事も無い受付の仕事だけやってるのははっきり言って申し訳無いから…
『う~ん…そもそもここのお客さんって、大半が英霊や神霊だよね?』
『それがどうし…あ…』
『多分、相当ハードなんだと思うよ。俺もここ来たばかりだけど、どう見ても紅ちゃんは妥協しないタイプだろうし。』
『……それでも…少しでも紅ちゃんの事手伝えるなら手伝いたいのに』
『まあ、今回は取り敢えず俺だけ受けてみるから。後でどんなだったくらいは教えるからさ。』
そして…一日参加した彼は異常に疲れた顔をして戻って来た…
『いや…開始と同時に何かワイバーンとか、所謂…幻想種だっけ?それがいっぱいいるジャングルに放り込まれてさ…正直、マジで死ぬかと思ったよ…』
……後で紅ちゃんに聞いてみたらまず紅ちゃんの料理教室は幻術で精神のみを幻想種の闊歩する危険地帯に放り込む所から始めるんだとか。…『先ずは食われる立場になるところから始めるでち』だそうな……そりゃ私に伝えられるわけないよね…私一人じゃ幻想種から逃げ切れる訳無いし…ちなみに彼も向こうであったとある英霊の人がいなかったら精神だけとは言ってもすぐにでも食われてたかもしれないらしい……
しかも、これでもまだ最初の方らしくこの空間で先ずは体感で一ヶ月生き残り、そこから更に過酷な試練を用意してるとか…それを聞いた彼は速攻で諦めたのは言うまでも無い…まあ、彼を貶すつもりは無いけどね…英霊の人の助けがあったとはいえ、一応ここは突破したらしいしね…
とまぁ又聞きだけど私は一応紅ちゃんの料理教室がどれほどヤバいのか把握しているのだ…さて…ここで問題がある…
「マスター…一体どうしたんだ?顔色が悪いぞ。」
「エミヤさん…その、料理教室なんですけど…」
私はこの事をエミヤさんに伝えるべきか、否か…まあ、エミヤさんなら初見でも対応出来そうではあるけどね…でも、やっぱり心配は心配…本当にどうしようかなぁ…