「始まりはカルデアに来てから見る様になった夢…」
「夢?」
「そそ。寝てる時に見るアレ…まあ、そういう顔になるよね…」
私がそう言った途端に胡散臭い物を見る様な顔をする彼を宥める。いや、まあ…私もつい最近まで半信半疑だったし…
「まあ、取り敢えず聞いてよ…で、夢の内容はサーヴァントっぽい、夢の中なのに妙に威圧感を感じる奴からの攻撃を受け止めて、盾を残して消えたマシュ…その後に彼女の後ろで守られていた人物が殴り掛かる所「待って!」…何?」
「そいつにマシュが?」
「そう…落ち着いて。これは…あくまで私が見た夢の話だよ。」
まあ、何処かの並行世界で実際に有った事みたいだけど…今はそこだけ注目されても困るからね。
「私が見るその夢の特徴としてマシュの顔ははっきり見えるのに、対峙してるサーヴァントは霞が掛かった様になってて見えず、マシュと一緒にいるパートナーは視点を向けられないせいで顔を見る事が出来無い…続けて良い?」
「うん…大丈夫…」
既に彼の顔色が悪い…オチが見えたのかな?まあ、こっちは彼の状態に構ってる場合じゃないからスルーさせて貰うけどね。
「…日を追う事にサーヴァントの方は顔が見える様になって行き、パートナーの方はしばらくは一度も顔がフォーカスされなかったのに時折視点が変わって横顔くらいなら見える様になって行った。」
「……」
「それで、ある日…何時もの様に私に背中だけを見せるマシュのパートナー…その人がこっちに振り向いた。」
「え?」
「その人はね…その夢の単なる登場人物の様で、実際はずっとこっちを認識していたみたいなの…その瞬間、私もその夢の中の登場人物に…と言っても、その状況がどうにか出来た訳じゃなくて、時間の止まったその世界でその人と短い時間会話しただけ…その時聞いたの…二人が対峙し、敗北したサーヴァント、魔術王ソロモンの事と、私にかけられてる呪いはその人が魔術王ソロモンに殺られた瞬間にかけられた呪いが並行世界の私に干渉してしまっている事が原因である事を、ね…」
「……」
「この事は私のいたカルデアの誰にも話してない……マシュにもね。」
「……何で?」
「私自身もこの内容が半信半疑だったから。…だって夢だよ?それ以降は同じ夢を見ても彼とは話せなかったせいもあるけど…」
「でも、今は君はそれが本当の話だと確信を持ってる…だから俺に話した…」
「そうだよ。」
「何で?ずっと信じ切れなかったんだよね?」
「うん。でも、今は君の言う通り確信してる…これが本当に有った事だってね…」
「だから…何で…!「君は…もう気付いてるんじゃないの?」え?」
本当に分からない…?それとも認めたくないだけ?
「…じゃあヒント。私が確信を持ったのはつい、最近だよ。……ここまで言えば分かるかな?」
「その…マシュのパートナーは…俺だった…!」
「そう…私がこの話が厳然たる事実だと思ったのは君がこうして私の前に現れたから「ごめん!」……何で謝るの?」
彼がその場で土下座を始める…うわぁ…予想通りだね…
「だって…!君がその身体になったのは俺の「君じゃないよ。君とは別の並行世界の藤丸立香」でも、それは…俺だ…!俺の可能性の一つだ…!」
「"彼"と話した時も言ったんだけど別に私は恨んでないんだよね。」
「何故…?」
「"彼"のせいじゃないから…当然、君のせいでも無い。」
「俺は「自惚れないで。この身体がこうなったのはたまたまだよ、私の運が悪いだけ」……どうして…そんな…」
後ろ向きの筈の彼の言葉が一々私に刺さって少し苛立つ…"彼"の言葉はあまり響かなかったのに…あー…そっか…"彼"も嘘をついた訳じゃなく本当に私に悪いと思ってたんだろうけど…もう自分は死んでるっていう諦めが"彼"の言葉に熱を乗せなかったんだね…
「そこまで私に詫びたいなら約束して。」
「何を「負けないで、諦めないで、マシュを…絶対、死なせないで。」……分かった、約束する。」
その力強い彼の言葉を聞いて安堵する…うん、私は無理だったけど…彼なら…きっと…