ブラゴが私の為に…さっきも言った通り、彼が死んでないのは分かる…縋りたいのではなく、何となくでもなくはっきりと分かっている…
「ダメね、それで折れたらそれこそ彼には失望されるわ。」
デスに切った啖呵も嘘にしてしまう…彼にも、もちろん自分にも私はもう嘘をつきたくない…例え、無謀だとしてももう一度あの城に…!
「…何かしら?」
ノックが聞こえ、私はそう返した。
「…答えは出たか?」
「ええ。」
ドアが開く…
「さて、君にはもう何もするな、と言った訳だが…」
「貴方は優しいのね…」
「……どういう意味だ?」
「私の身を…案じてくれたのでしょう?」
「…そんなつもりは無い。…その様子だと引き下がるつもりは無い様だな…」
「私は…ここで終わりたくない。彼にもう一度会うの…絶対に。」
そう言うと彼は溜め息は吐いた。
「頑固な物だ…これも血筋か「違うわ」む…?」
「これは私の意思…ベルモンドであるかなんて関係無い…私の譲れない想いよ。」
「…パートナーと戦う事になってもか?」
「彼と戦うのは初めてじゃないもの…昔に戻っただけよ。」
「…そうか、君に修行をつけたのは彼だったな…」
「彼は…手は抜かないわ。最初はともかく、最後の方はほとんど殺し合いと変わらないレベルになっていたもの。」
「君の覚悟は分かった…で?その傷でどうするつもりだ?…まさか這ってでも城まで進む、と言うわけでもあるまい。」
私は彼から目を逸らした。
「何も考えて無かったわけか…ご立派な覚悟だな。」
「現実的に無理なのは分かってる…でも、私はどうしてもここで終わりたくないの…」
「まあ良い…受け取れ。」
そう言って彼が投げて来た物を手で掴む…
「……これは?」
私の手の中には青い液体の入った瓶があった。
「ポーション…と言っても分からないか…自然治癒力を高める薬だ…時間はかかるだろうが、その腹部の傷と足は確実に治るだろう…」
「こんな物…一体何処で?」
このレベルの傷が自然に治る程の薬なんて…聞いた事が無い…
「こんな物、城に行けば普通に手に入る…最もそれはかなり上等な品で、そう何本も手に入る物じゃないが。」
「待って…城にあったの?……本当に私が飲んでも大丈夫なの…?」
「それは人間用の薬だ…別にそれほど不思議な話では無い。ドラキュラに限らず吸血鬼を神秘的なものとして崇め、更に外法を学んだ異端者は一定数必ずいる…それは恐らく城に集まった異端者たちがドラキュラに並び立つ為造った不老不死の秘薬の失敗作だ。」
「不老不死…」
「どうした?飲まないのか?それは別にお前に限った話では無く、歴代のベルモンドや、他のハンターも誰もが通る道だ。」
これを飲めないならベルモンドどころかハンターと名乗る資格すら無い、という事ね…私は瓶の口に嵌っている栓を引っこ抜いた。
「…んぐ…!?」
飲んだ瞬間から、明らかに異質な甘さを感じた…それと同時に身体が熱くなる…!?
「ちょっと!?これ本当に大丈夫なの!?」
「普通の人間には強過ぎる代物だ…最も君には飲む以外の選択肢は無い筈だが?」
「くっ…」
その内、少しだけど身体の熱さは引いて行った…
「傷はどうだ?」
毛布を退ける…
「痛みは無いわ…本当に効くのね、この薬…」
「…傷の規模が規模だからな…体力の消耗もある筈だ…少し休め「待って」何だ?」
「どうして…私にここまでしてくれるの?」
彼にここまでする理由は無いはず…そもそも私を放っておいて城に向かっても良い筈なのに…彼はこうして私の気持ちが固まるのを待ち、貴重な筈の薬までくれた…
「俺は約束を果たしているだけだ…」
「約束…?」
「……そうだな、君には聞く権利はあるか…教えてやろう、俺を友と呼んだあるベルモンドの話だ…」
設定はオリジナルで行きます…悪魔城本編にシェリーを入れる隙間が無いので…あくまでこれはifの話という事で…