私は武蔵さんに指を向けた。
「やっぱり抵抗するんだね…」
「当然です。…世界は救えなかったけど、自分の恋愛ぐらいは諦めたくないんですよ…虫の良い話だと自分でも思いますけど。」
「…それは違うかな?君はずっと頑張って来た…どれだけボロボロになっても止まらずに…だから…私は君は幸せになっても良いと思う。」
「なら…通してくれませんか…?私程度の拙い魔術で貴女をどうにか出来るとは思いませんけど…私はそうだとしても貴女を攻撃したくないんで。」
「無理。だって君は彼を選んでも幸せになれないもの。」
「…それを決めるのは私ですよ。まあ、例え私が幸せになれても、彼が幸せになれるかは分かりませんけどね…」
私があの人にしてあげられるのは…彼が恥じるその生涯を受け入れ、一緒に背負う事だけ…寧ろ私の方があの人の重荷になるかもしれない。
「…それならやっぱり通せないね。だってそこまで言うなら君に彼を幸せにするっていう覚悟が無いと。一方的なのは良くないよ?」
「そもそもまだ彼が受け入れてくれるのかは分かりませんよ?気持ちを告げに行くのすら許してくれませんか?」
「駄目だね。だって立香ちゃん、彼が君の為に身を引こうとするなら意地でも追うつもりなんでしょ?」
「当たり前です。彼が私を嫌いじゃないなら、私は引き下がるつもりなんて無いですよ。」
「じゃあ駄目。ここは通せない。」
「じゃあ…押し通ります…ガンド…っ!?…ガンド!ガンド!ガンド!…ゴフッ…」
呪いの塊を指から撃ち出す…一撃目が躱されたのを見た瞬間に気が遠くなったが指を下ろさず連続で打つ…当たってるのかさえ判断出来無い…ここは狭いから撃ち続けさえすれば…とか思ってた私の判断は早々に間違っていたのだと思わされる…これは血?私、また血を吐いてるの…?
「全く…君は何をやっている…」
そんな声が聞こえ、車椅子から落ちそうになった私の身体が支えられた…
「…エミヤさん…?」
「そうだが…どうし…!まさか…目が見えないのか!?」
「…大丈夫です「何が大丈夫なものか!?君は何時も」大丈夫です…多分…少し休めば…」
「とにかく君の部屋に運ぼう…女将、後でそちらに「良いでち。事情はそこの御仁にお聞きちまちゅから…エミヤちゃまは彼女に付いていてあげて欲ちいでち。」すまない…」
「謝るのはこちらの方でち…ご迷惑をおかけちて申ち訳ありまちぇん。」
「…ごめんね、紅ちゃん…」
私は声の方に顔を向けながら謝る…
「良いでち。ゆっくりやちゅむでち。」
「行くぞ、マスター…」
私はエミヤさんの腕の感触を感じながら目を閉じた。