ネタ帳   作:三和

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人類最後のマスターが車椅子だったら 蛇足回

少女がカルデアに向かう前日の話

 

「……そうですか…明日、出発なのですね……」

 

……と、孤児院の先生であるおばあちゃんが悲しげに言う……いや。あの……

 

「何か凄い悲壮感出してくれてますがただ住み込みの短期バイト行くだけですからね!?」

 

私は必死に抗議する。おばあちゃん、孤児院にボランティアに来てる私にも優しい人だけどこういうときは本当に困る

 

「私にとっては貴女も娘の一人なのよ!?ましてや貴女は頑張り過ぎちゃうから余計に心配になるじゃないの!?」

 

「えー…」

 

嬉しいのは嬉しいんだけど……本当の親よりこうやって過保護だからなあ……あれ?良く考えたら仮にも外国行くのに二つ返事でOK出した私の親って……

 

「立香さん!?聞いてるんですか!?」

 

「…!はっ、ハイ!」

 

「良いですか!?貴女はこの前も無理して熱射病で倒れたのよ!?」

 

「…いやそれ一年前の話ですよね!?」

 

マジで今関係無くない!?確かに耐性低い方だと思うけど!大体私が行くのは……

 

「だ、大丈夫ですよ。私が行くの凄い寒いとこだし……」

 

「何言ってるの!?貴女そうでなくても身体弱いんだから風邪でもひいたらどうするの!?」

 

「えー…」

 

うわーい。今日は何か一段と過保護っぷりが暴走してるよー。

 

「…ハア……まあこれだけ言っても貴女はどうせ行くのは止めないんでしょうね……」

 

「…はい。もう決めましたから。」

 

「そうよね。貴女は一度決めた事は絶対曲げないものね。……寂しくなるわ……」

 

私は車椅子を押しておばあちゃんに近づき手を取る

 

「大丈夫ですよ。私はちゃんと帰ってきますって。別に今生の別れとかじゃないですから」

 

「……」

 

「それに、私はここが気に入ってるんです。子供たちは皆可愛いし、そして何よりおばあちゃんの事も大好きですから」

 

……と、必死にご機嫌取りをする。……いや。子供たちやおばあちゃんの事は本当に大好きだけどさ……

 

「…そんなヨイショしても誤魔化されませんよ。」

 

「へっ!?」

 

あっ、あれぇ?イケると思ったんだけどなあ……

 

「私が貴女のためを思って言っているというのに貴女という人は……!」

 

ヤッ、ヤバッ!

 

「おっ、おばあちゃん!?私明日の準備もあるしそろそろ帰らないと……!」

 

「…貴女が来る前に貴女の家に電話しました。貴女は今日はここに泊まることになっています。貴女のお母様が荷物も後で届けてくれるそうですよ」

 

「え゙っ……」

 

おっ、お母さん!?

 

「さっ、今夜はゆっくりお話ししましょうね」

 

「ひっ、ひえ~」

 

私の試練はまだ終わらないようだ……

 

 

 

少女の親友の話

 

「…立香~、カルデアってとこにバイト行くの何時だっけ?」

 

「一週間後だよ~」

 

「……そっか~」

 

「どうしたの?急に?前にも話したじゃん。」

 

「…!ううん。なんでもないよ」

 

「そう?」

 

彼女は間違いなく私の親友だ。でもこの暗い感情は止められない。

……私の家は魔術師の家柄だ。……元がつくが。

彼女に初めて会ったとき感じたものはその莫大な量の魔力とほぼ全身に走る魔術回路

……私は親と違い先祖帰りなのか魔術回路が存在するが家を再興出来る力は無い……

嫉妬に駆られて何をするか自分でも分からなくなりそうになる。

……でも……

 

「…今日は何処行く?」

 

「う~ん……あっ!あそこにしない?ほら新しく出来た……」

 

「そうだね、そうしよっか」

 

彼女の車椅子を押しつつ私が気付いてる事実を反芻して気持ちを圧し殺す

 

……彼女は遠くないうちにその身にかけられた呪いで死ぬ……

 

……そんな事を考えつつ私は今日も彼女の善き友人であろうとする 

 

 

 

錬鉄の英雄の帰還

 

「…エミヤさん、本当に行ってしまわれるんですか……?」

 

悲しげにそう言う少女に胸を締め付けられるがすぐに前を向く……もう決めた事だ……

 

「私の言えた義理ではないが……マスターの事を頼んだぞ」

 

「…!はいっ!」

 

良き返事だ。彼女に任せれば心配はいらないだろう……

……私は眠るマスターに近づきその手を軽く握る

 

「……」

 

……何か声をかけようと思ったが考えてみれば私にその資格は無いな。私は彼女から逃げようとしているのだから……

 

私はその手を離し部屋を出…

 

「…エミヤさん!」

 

足を止める

 

「…何かね?」

 

「…お世話になりました!」

 

「…次のマスターが決まったら呼んでくれ。その時は今度こそ力になると誓おう」

 

今度こそ私は部屋を出る

 

「…で、何か用かね?ランサー」

 

部屋を出れば壁にもたれ掛かる青髪の男

 

「…ハッ、同僚の見送りに来たら悪いのかよ?」

 

……見送り?何を馬鹿な……

 

「…では、何故君は殺気を私に向けているのかね?」

 

「…そうだな、こいつは一種の余興だ。……アーチャー、俺と最後に一戦してけや。」

 

「…ふむ。良かろう。では、被害を出しても問題無い所に行こうか?」

 

私がそう言うと奴は心底驚いたと言った顔を向けてくる……何だ、その顔は……

 

「何か可笑しかったかね?私は君の希望に答えただけだが?」

 

「ん?いや。なんつーか……まあいいわ。行こうぜ」

 

「…今回は勝たせてもらおう。」

 

「抜かせ。勝つのは俺だ」

 

……赤と青のコンビが物騒な笑みを浮かべ無言で練り歩く中カルデアスタッフは戦々恐々としていたという……

 

 

 

優しい子供たち

 

「おかあさん!」

 

「しー。ダメよ、ジャック。マスターは病気で寝てるんだからいきなり大声出したら……」

 

「あっ、おかあさん、ごめんなさい」

 

「……」

 

「おかあさん起きないなあ……」

 

「仕方ないわ。せっかく持ってきたしこの絵本読んでいってあげましょう」

 

「…うん。」

 

「…特に心配無さそうですね……」

 

先輩の部屋から声が聞こえた気がしたので聞き耳を立ててみると中にはナーサリーさんとジャックさんがいるようでした。

……勝手に入ったことに関しては注意しないといけないのでしょうが……

 

「…気付かなかったことにしましょうか……」

 

私は先輩の部屋のドアから離れた。

 

 

 

槍使いの話

 

「…よう。嬢ちゃん、……また痩せたようだな……」

 

椅子を引っ張ってきて座る

 

「なあ、嬢ちゃん。俺さあ帰ることにしたんだわ。悪かったな、助けてやれなくてよ……」

 

サーヴァント連中の大半はさっさと帰っちまった。後は俺とガキどもと変態科学者と盾の嬢ちゃんくらいしかいねぇ。

 

「辛気臭ぇのは嫌いだしごちゃごちゃご託並べるのも好きじゃねぇ。だからこれだけ言いに来た。残りの時間精一杯生きな。最後のプレゼントをやるよ」

 

俺は嬢ちゃんにルーンをかける。……まじないレベルどころか気休めにもなんねぇだろうが苦痛は少し楽になるはずだ 

 

「……じゃあな。マスター」

 

 

 

残った天才の話

 

静かな部屋にキーを叩く音が響く。

 

「……ふぅ。」

 

作業行程を保存しパソコンの電源を落とし席を立つとパソコンから伸びるコードの先へ向かう。

コードは既に乗る者の居ない車椅子に繋がれている。

……私はコードを抜いた。

 

「立香君?君が乗らないと私がこいつを調整しても何の意味も無いんだよ……?」

 

……届くはずの無い言葉を溜息と共に溢す……

 

「う~ん……少しここに長く居すぎたのかもしれないな……」

 

……そうだ。休暇を取ろう。……正直今のカルデアにはあまり居たくない。あの頃比較的肌の合わなかった人物はもう居ないけど残った面子も彼女がああなってから皆魂が抜けたようになってしまって張り合いが無い。

 

「…彼女とあの馬鹿には挨拶していこうかな……?……ああ、その前に……」

 

まずはごちゃごちゃしているこの部屋を片付けないとね……

 

 

 

 

所長代理の話

 

……この部屋に来るのは久しぶりだ。

……僕は部屋に入る

 

「……久しぶり、だね。立香君。」

 

……彼女の姿を視界に入れられたのは一瞬だけ。

直視するには彼女はすっかり変わり果ててしまった……

 

「いや。それではいけないな……」

 

僕はもう一度視線を彼女に向ける

 

「……」

 

彼女に対してかけたい言葉はたくさんあったはずなのに……改めて彼女を見据えたら全て消し飛んでしまった。

 

「本当に、ごめんよ。立香君。」

 

彼女の姿はあまりにも痛々しすぎる……僕が目を背け続けた結果がこれなのか……?これじゃあ僕はもう彼女に何も言う権利は無いじゃないか……

 

「……ごめん。帰るよ。」

 

……こうなったらもう僕に出来るのは人理修復を終えるまで歩みを止めない事しかない。勝手だとは思うけどそれが僕が彼女に出来る唯一の償いだ……

 

 

 

盾の少女と?

 

「貴方は誰なんですか!?今すぐに先輩から離れてください!」

 

先輩の様子を見に部屋に来たら見覚えの無い人物が居たので私はそう声をかけました……まさかこうもあっさり侵入されるなんて……!

 

「聞こえないんですか!?今すぐに離れてください!」

 

私はサーヴァント化しその人物に再び声をかけます。敵のサーヴァントでしょうか……?……今先輩を守れるのは私だけ……!絶対に先輩に手出しは……!

 

『……マシュ。大丈夫だよ。俺は彼女に危害は加えない』

 

私の名前を……!?いえ。今はそれはどうでも良いでしょう。とにかく彼の言葉を簡単に信じるわけにはいきません。彼は侵入者には違いないのですから……!

 

「…とりあえずこちらを向いて下さい。それから事情を話して貰います……!」 

 

彼は振り向いた

 

『……久しぶり。マシュ……いや。ごめん。この世界の君に俺の事は分かるわけないよな……』

 

……彼に見覚えはありませんし言ってる意味も分かりません。でも……

 

「…貴方は一体誰なんですか……?」

 

今にも泣き出しそうな彼の顔……それと彼に手を握られる先輩はとても穏やかな顔をしていて……更に良く見れば彼はカルデアの戦闘服を身にまとっていました……

 

『…うん。今から俺の事について話すよ……それに、彼女についても大事な話がある……』

 

一瞬先輩に目をやった彼が再び私に視線を戻したとき、彼は先程とはうってかわって真剣な顔をしていました……私は警戒は解かないものの彼の話を聞いてみることにしたのです……

 

 

 

復讐者の話

 

俺が手を握ってやった女はそのまま身体から力を抜きそのまま倒れこみそうになり俺は思わずその身体を支えていた……

 

「……」

 

俺は何をやっているんだ……?この女に特別な感情は無い。だが、何となくこの女を放って置くことが出来なかった

 

「…クハ。俺もヤキが回ったものだな」

 

この女が人類最後のマスター……カルデアの切り札であることは把握している。……魔術王とやらは気に入らないがそちら側に俺が所属している以上俺にとってはこの女は本来敵なわけだ。

 

「……」

 

しかし俺はこの女に敵とは名乗らなかった。

 

「……フン」

 

俺は異様に軽いその女を背負った。

 

「…喜べ。貴様を外に出してやろう……」

 

俺は独房のドアを開けた

 

 

 

名もなき魔術使いの話

 

魔術師の家の方針に嫌気が差し家を飛び出した俺は人理保証機関カルデアに招かれた。…ここの代表となる女、オルガマリー・アニムスフィアが当主となっているアニムスフィア家と俺の家はとにかく仲が悪いのだが既に出奔し、名も変えた俺の知った事ではない。

…にしてもあの高圧的な性格は何とかならないものか…?俺の魔術特性そのものはかなり特殊な部類には入るが魔術師としての実戦能力は低い…それは自覚している…。

 

だからと言ってまるで出来損ないを見るかのような目をするのは問題だろう。…出ていってやろうかとも思ったがここは南極のド真ん中。伝手が無ければ出ていくのも難しい…それにあの女がカルデアの技師レフ・ライノールに見せる弱々しい姿を偶然見てしまってからそういう選択肢は完全に消した。…昔から魔術師らしくなく、どうにも甘い気質の俺はああいう奴を放置出来ない。

 

…そこから目まぐるしく時は過ぎレイシフト当日…俺の意識は闇に沈んだ。目を覚ました後に聞いた話だと裏切り者のレフ・ライノールが仕掛けた爆弾の爆発に巻き込まれたらしい…しかもオルガマリーは死亡し現在は人類も滅亡しカルデアの外にも出られない。

 

そして当日になってやってきた一般人のマスター候補がずっと世界を救うため奔走していた…そして今、彼女は…

 

「…あんたが俺の前任か。…中々に幸薄そうな顔してやがんな。」

 

実際はそんな言葉で言い表せない程その女は衰弱しきっていた…辛うじてとは言え、息があるのが不思議な位だ。…ざっと解析するがかかってる呪いは俺にはどうすることも出来ずそもそも手遅れだった…。

 

「…ここの連中はよ、皆俺とあんたを比べやがんだ。…罪作りだよなぁ…俺にあんたみたいな事は出来ねぇよ…。」

 

どうやってこの女はこんな衰弱しきった身体で全てを背負ったんだろうな…現在目覚めたマスター候補が俺しかいないとは言え、はっきり言ってこいつと同じ事なんて出来ねぇ…自分の役目から逃げ出した俺にはな。

 

「…まぁ腐っててもしょうがねぇからよ、そこで見てな。俺は俺のやり方で人類を救ってみせるぜ。」

 

その一言で言い表すなら醜悪な見た目の少女にそう声をかける…不思議だ…こいつを見てると勇気が貰える気がするんだ…。

 

「また来るよ。元気になったらあんたと話でもしてみてぇな…死ぬなよ。」

 




タイトル通りの蛇足(必要か?これ?)

何か浮かんだら追記する予定
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