「……あら?逃げずに来ましたのね?」
……私は目の前で戦う前から勝ち誇る小娘に呆れの目を向けている……最も今の私は……
「にしてもフルスキンだなんて……そんな時代遅れのデザインのISを使おうだなんて嘗められたものですわね……!」
……一人で勝手に怒りを募らせる少女に私は更に冷めていく。そしてこの戦いの原因に思いを馳せた……
事はクラス代表を決める場で起こった。クラス代表とは端的に言えば学級委員の様なものだ。クラスの者たちは面白がって私と一夏に票を集め始めた
……一夏は猛抗議していたが推薦されたものは断れないとこちらの知らぬ間にIS学園の教師になっていた私たちの姉千冬に告げられていた
……私はここまで来たら別にクラスの代表を勤めることに特に異論は無い……軍人時代はどれ程嫌な仕事でも上から言われれば断れないのが普通だったからな。
……たかたが一学園、一クラスの雑用など大した手間とも思わん。……最もその直後に「……じゃ、じゃあ俺も兄貴に一票……!」といった一夏には少し思うところはあるがな。
……で、そろそろかと思った辺りでこの流れが気に食わないのにひたすら無言を貫き私か一夏のどちらをクラス代表にするか?という方向にまとまりそうになったところでようやく声をあげたものがいた
「納得いきませんわ!」
彼女はセシリア・オルコット嬢。イギリスの代表候補生との事だ。……その後の彼女は自分が推薦されて当然の状況でのこの結論がとにかくお気に召さないらしく我々二人とひいては世の男性陣、果ては自分がいるこの国まで罵倒を始めた……
……不味いな……。
我が弟一夏は今時珍しいくらいこの日本という国が大好きである……しかも沸点が低い。
……そろそろ止めるべきか……。
そう思い同じく血を分けた姉に目を向けるとこちらは沸点は高いものの暴発を必死に抑え込んでいる鬼がいたが私が目を向けると途端に無表情になる……そして
……私が止めるか?千冬姉さん?
…!……頼む。
私が動こうとすると
「イギリスだって世界一マズイ飯ランキングで何年連続で一位だっつうんだよ!」
……と、愚弟がやらかしたのが分かった……。
イギリスの飯がマズイ、というのはかつてあの世界にてイギリス発祥の郷土料理を食したことのある私も頷ける話だが今、その事は問題ではない……。
……一夏、どうしてお前は話をややこしくする……
このトラブルメーカーの弟のせいで発症した頭痛が襲いかかって来たせいで更に対応が遅れ、その間に二人の口撃の応酬はヒートアップしていく
元々イギリス代表候補生が日本を貶した事で国際問題に発展しかねない話だが先程まではあくまでイギリス側のセシリアの失言で済んでいた……だが……
一夏……日本人でかつ世界で唯一ISを動かせる男であるお前が言い返したらそれだけで戦争の火種になりかねないと何故わからない……?
元々休み時間の女尊男卑に染まったからであろう彼女の高圧的な態度からこういう問題が起こる可能性を危惧していたが……あの時対応を後手にした私を殴り付けてやりたいところだ……まあ、今はとりあえず止めなくてはな
私は机を握り拳で叩き教室内が静まり返る中席を立つ
「……そこまでにしないかね?二人とも。」