私は入ってきた二人の転入生を見る
……とりあえずどう見ても女にしか見えない自称男はいい。どうせ私と一夏の専用機の情報を探るためスパイとして送り込まれたのだろう。私は勿論騙されることは無いし一夏にも万が一の事を考えて色々教え込んだ。正体を隠せてもいないスパイにハニートラップ程度で簡単に情報を抜かれる様なら叱りつける所だ。
……問題はもう一人の方だ。小柄な彼女から明らかに一夏に向けて殺気が向けられている
……単なる女尊男卑思考というわけでもなさそうだ。私は視界に入れてもいないしな。……それに彼女の雰囲気に覚えがある。……さて、何処だったか?
彼女は自己紹介を山田教諭から促されても黙っていたが千冬姉さんに言われようやく自己紹介を……ん?彼女は今千冬姉さんを教官と呼ばなかったか?……情報が少ないな。とりあえず彼女の名前はラウラ・ボーデヴィッヒというらしい……ドイツ系だな。そして千冬姉さんを教官と呼んだと言うことは……まさか……いや。まだ確証は持てない。そうこうしているうちに彼女は一夏の元へ……殺気が膨れ上がっている。一夏は気付いてすらいないが。……恐らく彼女は嘗ての私と同じ軍人。何しに来て何故面識の無い一夏を憎んでいるのか分からないがさすがに一般人に滅多な事は……!
「いきなり何すんだ!?」
「クッ!避けるな!貴様が!貴様が!」
まさかいきなり一般人の一夏に殴りかかるとはな。
ん?近くの女生徒からメモが回されてきた
礼を言って受け取る。……セシリアからか。
"止めなくてよろしいんですの?"
……私は返事を書きセシリアに回してもらう
"まだいい。相手はどうやら現役の軍人だろうが相手を素人と思って手加減してるような奴に負けるような柔な鍛え方を私は自分の弟にしていない"
……さて、それにしても何故千冬姉さんは止めない……?
これ以上長引くと授業に支障が出る……オロオロしてるだけの山田教諭は正直役に立たなそうだ
……仕方ない。また私が止めて……!
その時私は見た。彼女が隠し持っていたナイフを一夏に向けて尽き出すのを……!
素人に軍人が刃物を使うだと!?一夏の角度からは見えていない!
くそっ!
「……一夏!」
「えっ?兄貴……」
私は一夏の元に駆けつけると一夏を突き飛ばす。床に転がったのを確認しつつとりあえず迫ってくるナイフの刃を左腕で受ける
「……グッ…!」
「……何だ貴様は!?邪魔するな!」
「何やら言っているようだが刃物を使うなら加減はせんぞ……!」
私はナイフを抜こうとした彼女の手を掴む
「……くそっ!離せ!」
「……ナイフを捨てられないか、未熟だな」
「何だと!?貴様!」
これでいい。まずは怒らせて標的を私に移し更に怒らせる。……素人にナイフを抜くバカだ。ISを起動される前に落とす!
私は必死に掴まれた手を抜こうとする彼女の手を更に強く握りそのまま狼狽える彼女の喉元に手刀を叩き込む。
「ガッ!?」
これで大抵の相手は気絶するだろうが念には念を入れてそのまま今度は拳を作り鳩尾に打ち込む
「がはっ!」
……少しやり過ぎたかもしれん。まあいいとりあえず気絶は確認出来た。
私は彼女を床に寝かせると刺さったままのナイフを抜く……思ったより深かったな。血が少し吹き出る
「……」
制服の上着を脱ぎ縛り付け止血する
……勿体無いがどうせこれだけの穴が開いて血がついてしまってはもう着れん
「……治療をして貰って来ます。後の事はお任せしていいですか、山田教諭?」
私はこの騒動を止めなかった千冬姉さんにではなく山田教諭に聞いた
「……え?ええ!気を付けて行ってきてください!」
「お待ち下さい!私が付き添います!山田先生許可を!」
「……え?ええ!行ってらっしゃい!」
「セシリア、大した怪我じゃない。付き添いなど……」
「……行きますわよ。」
勝手に肩を貸すセシリア。……こうなると彼女は話を聞かない。溜息を尽きながら教室のドアに着いた時、私は一度振り返り千冬姉さんの方を睨んだ
……姉さん、何で止めなかった?
……すまない……
……後で理由は聞かせてもらうぞ
私はセシリアと教室を出た