……私の目の前には文字通り泥で形成された懐かしい物がいる。暮桜……かつて我が姉の専用機だった機体だ。まあ……
「所詮擬きだがな。」
偽暮桜の斬撃を後退し避ける。
暮桜の武装は単一能力のあるブレード雪片のみだがこいつの零落白夜は仮に当たろう物ならシールドエネルギーをあっという間に削られISは解除される
……確認は出来ないがこいつも同じ能力を持ってると思った方が良いだろう。
……厄介だ。
最も私にとっては遅すぎる……これが仮に織斑千冬本人の剣ならとっくに私は戦闘不能だ……
しかし我が不肖の弟に丸投げした筈が何で私がこんな事を……!
……ラウラと一夏はタッグマッチでぶつかる事になった。……ちなみに私も参加させられる所であったが屁理屈を捏ねて辞退した。
パートナーとなった箒と連携を一切取らないラウラと対称的にシャルル・デュノアとペアを組んだ一夏の動きは目を見張る物があった。
観客席で眺めている際にそれが顔に出ていたのか隣から…
「……貴方も出れば宜しかったのに。」とからかって来るセシリアを軽く睨むが彼女は微笑むだけ。
……あれだけ手酷く叩きのめしたのに何故彼女はこうも私に懐くのか不思議でならない……すっかり癖になった溜息を溢しつつ試合を眺めていく
箒を連携で潰し(さすがに不憫だな、あれは……後でフォローを入れておくか……)
一騎討ちに見せかけシャルルとの連携で油断したラウラを追い詰めて行く……
「……えげつないですわね……」
苦笑を溢すセシリア……最近のお前も大差無いと言ってやろうと思ったが止めた。まあ…確かにあのシールドピアースは奇襲で使われると対応が難しい……
ラウラはもう打つ手は無く……!何だ、あれは!?
ラウラのISから泥のような物が吹き出し搭乗者もお構い無しに飲み込んで行く……
「……くそっ!」
私は走り出していた。セシリアの制止の声が聞こえた気もしたが知ったことか!私の勘が確かならこれは一夏には荷が重い……!
結局私はISを纏い気付けばこのギリギリの戦場へ……
頼みの綱は一夏のみか……私の攻撃はほとんど効いて無い……いや。それ以前に……
「…当たらん!」
ふざけたことにこいつスピードは早いのだ。当たりさえすればせめて決め手の無い私でもどうにか出来るのだが……
「……くそっ!一夏!まだか!?」
「悪ぃ兄貴!こいつ隙が見つからねぇ!悪いけどもう少し動きを抑えてくれ!じゃねぇと当たらねぇ!」
くそっ!簡単に言ってくれる!
『おい!聞こえるか!?』
「千冬姉さんか!?教師陣は何をしているんだ!?」
「すまん!まだ生徒の避難が完了していない!もう少し耐えてくれ!」
「ふざけるな!職務怠慢にも程がある!?日頃から有事に対する姿勢が緩いからそうなるんだろうが!?」
もういつもの取り繕いも無しに怒鳴り付けていた。
これは自分で勝手に飛び出した末の自業自得。だが、八つ当たりだと思ってもここまで理不尽だと前世の私も上官にキレていただろう……
「…もういい!後は俺たちでやる!あんたらは手を出すな!後で処分でも何でも受けてやる!」
私は通信を切った
「兄貴!?援軍無しでどうするって「うるさい!お前はこいつの隙を伺う事に専念してろ!」ちょっ!?兄貴!?」
一夏の喚きももう聞くつもりは無い。取り敢えず今は……
「……ラウラ・ボーデヴィッヒ。悪いが俺は貴様を殺してでもこいつを潰すぞ」
搭乗者を殺さずに制圧しようとしたのがそもそもの間違いだ。こんな奴手を抜いて止められるわけがない!
「……恨みたければ好きなだけ恨め!」