「ラルフ…?それって確か…」
「…俺の事を文献で読んだなら、恐らくその名も出てきた筈だな…説明はしないぞ。」
ラルフ・C・ベルモンド…嘗て目の前にいる彼と共にドラキュラと戦ったベルモンドの…
「ちなみに後で聞いたら奴はこの話を知らなかった…最も奴と同じく、ベルモンドに迎え入れられた奴の実の妹の名はサイファ、だったからな…恐らく奴の父親は知っていたのだろう…先代のベルモンド家当主と友人だったのだからそう不思議な話でもないが…仮に奴の父が存命だったなら、その内話していたのだろうが…」
「彼に他に兄弟は…?」
そう言うと彼はまた笑い始めた…
「いない。仮に弟がいたなら、グラント…と、名付けられていただろうがな。」
彼が笑うのを止めると壁から離れ、椅子に座った…
「奴の父がどう言うつもりで名を付けたのかは分からん…だが、自分が死に、自分の息子がベルモンドの養子になり、本来の当主候補が亡くなって当主になり、果ては俺と出会うなど予想もしていなかっただろうがな…」
「だが、俺自身は運命的な何かをその時感じた…だから、俺は奴に力を貸そうと決めた…と言ってもだ…問題は山積みだったがな…」
「何かあったの…?」
私がそう言うと彼は溜め息を吐いた…
「俺が奴に出来る事など…何も無い、という事だ…何せ奴は剣技は俺を遥かに超えており、吸血鬼の俺の能力について行けない、と言う問題についてはどうする事も出来ん…奴は…結局剣の才能がある以外は何処まで行っても普通の人間だからな…」
「だが、奴は諦めようとしなかったんだ…奴は自分に修行をつける事を俺に頼んで来た…それで奴の気が済むのなら、と思い…俺は承諾した…」
「修行って…ドラキュラは… 」
「言い忘れていたが、奴が俺を起こしたのはドラキュラの復活する二年も前だ…その頃は予兆すら感じられなかった…起こされた俺の機嫌が悪かったのはそれも理由だ…」
「その後は…二年間奴の修行を見ていたよ…最も既にある程度の域にあった剣技に変化は…特に無かった様に俺には見えた…奴は何やらヒントを貰った、とか言っていたがな…それから…奴の歳の離れた妹に妙に懐かれたのは記憶にある…この話は関係無いな…止めよう。」
聞きたくなったけど、私はさすがに口には出さなかった…
「二年の間、奴とは何度か吸血鬼を狩りに行った…現代を生きる君からしたら到底信じられないだろうが、嘗てはドラキュラに限らず、真祖クラスの吸血鬼はゴロゴロいた…いや…誕生しやすかったと言うべきか…そもそも真祖ですら、元は人間の成れの果てだからな…」
「何故吸血鬼に…?」
「そもそも吸血鬼になるのも素質の問題らしいが…残念ながら俺も詳しい事は分からん…現代医学ならその分野から調べられるかもしれんが…検体の入手など不可能な上、元々現代人の多くは吸血鬼の存在自体を信じていない…これから先も実現は無いだろう…」
「さて…長々と話してしまったが、コレが最後だ…これから奴の終わりについて話そう…」
「終わり…?」
「全てはあの日…ドラキュラが復活した日から始まっていた…」