わっ、私は夢でも見てるんですの…?
私の中で何処か絶対視され神聖化されていたISが……今、武器も持たない生身の人間に翻弄されていた。
……私も人の技術を批評出来る程の腕を持ってはいませんが確かに一夏さんの操縦技術は未熟と言える……でもこんな光景は……!
「……有り得ない…!」
私はそう呟く事しか出来なかった……あの方は一体どれ程の高みに居ると言うのか…!
「……どうした?こんなのは篠ノ之流でも基本の分野じゃないのか?」
「……畜生!」
今、一夏が私の目の前で宙を舞った回数は既に十回を超えている……私が使っているのは篠ノ之流の技術ではないが篠ノ之流が戦場で誕生した剣術である以上武器を失った状態で武器を持った相手を相手にする合気の技術は必須の筈だ。
「……私を殺す気で来い、一夏。」
……そもそも純粋に実力で劣る人間が格上に手加減して勝てると思うのが間違いだ。やはり一夏は甘過ぎる……
「……うるせえ!俺はあんたを絶対死なせねぇ!あんたも千冬姉も俺が絶対に守ってやる!」
……理想論を語るならそれ相応の実力を持って欲しいものだ……最も理想を語り本気でそれをやると言い切る一夏の姿は確かに好ましい……兄として誇らしくもある……だが……
「……そこは私の間合いだ。」
剣を振る腕をまた掴み…!サブミッションに移行しようとするのを理性で押し止め投げる……人体の構造をある程度とは言え熟知しISの仕組みを知っている私なら容易にISのアーム毎一夏の腕を砕くことが可能だ。……もちろん一夏を壊すのが目的ではないのでやらないが。
「……くそっ!何でだ!俺はこんなに弱いって言うのか!?」
……一夏自身にあまり投げられた経験が無いのだろう……奴は何度も地面に叩き付けられていた。……当然シールドエネルギーも微々たるものだが減っているだろう。だがこれではキリが無い……そろそろ終わらせるか。
「……一夏これで最後だ。」
私は拡張領域からブレードを取り出す。
「…!やっとその気になってくれたのか兄貴!」
「……行くぞ一夏。」
一度距離を取りそのまま突っ込む……前世であのガンダムの少年との戦いを思い出される……あの時程の距離は無いし私はISすら身にまとっていない生身の状態だ。だが今私の目の前に居るのは白い機体だ。狙ったつもりは無いが正しくあの時の再現だな。
剣を持ち一夏に向かい走り剣を…!
「……ここだ!」
一夏が私が剣を振り上げるのに合わせて剣を振る……カウンター……本当にあの時の再現だ……だがな……
「……!」
「…っ!しまっ「遅い」がはっ!」
一夏が私の振り上げた剣を食らう……と、同時にタイミング良く一夏のISが解除された。
「……一夏、カウンターと言うのは自分の攻撃が相手より早くなければ成立せん。残念ながらISのアシストがあっても私の方が早いようだな。」
ISが強制解除され倒れ込む一夏にセシリアが駆け寄って行くのを私は眺めていた……